2021年12月3日掲載
「コロナ禍の義歯洗浄」をテーマに、前畑 香氏を招聘
Doctorbook academy、Webセミナーを開催

前畑氏は開口一番、コロナ禍における義歯治療について問題提起したうえで、「まず、義歯を次亜塩素酸系義歯洗浄剤で殺菌することが重要」と本講演の結論を掲げた。
続いて、氏の最新の著書として今年9月に発刊された『チェック式で簡単&伝わる! 義歯のお手入れ説明カードBOOK』(クインテッセンス出版刊)の内容を簡単に解説。本書の最大の特長である「患者説明用カード」については、表面を患者さんに見せながら、裏面の説明台本を紙芝居の要領で読むなど、実際の使い方も披露された。
いよいよ本題に入ってからは、コロナ禍だからこそ義歯治療前に行う義歯洗浄が重要であることを再度強調。そのなかで、プロフェッショナルケアにおいては、義歯付着物をインスツルメントやエアーアブレージョンなどで除去するとエアロゾルに曝露する危険性があるため、「まずは次亜塩素酸系義歯洗浄剤で殺菌することが重要である」と冒頭で述べた結論を繰り返した。これまでの義歯洗浄(プロフェッショナルケア)では、酸系義歯洗浄剤で歯石様沈着物を除去してから、次亜塩素酸系義歯洗浄剤で着色を除去するという流れが一般的であったが、コロナ禍では逆であると氏は念を押した。
また、プロフェッショナルケア用の義歯洗浄剤について提示するとともに、義歯洗浄後に歯科医師によって行う義歯研磨の重要性についても言及。さらに、最近のトピックスとして、義歯研磨後に行う、義歯への細菌の付着を抑制するコーティングについても示し、参加者の関心を集めた。
セルフケアにおいては、義歯用ブラシによる機械的清掃が大前提であることに変わりはないものの、特に高齢者においては義歯洗浄剤による化学的清掃でフォローすることも重要であるとし、義歯洗浄剤の種類などを紹介した。最後に、「天然歯と同じように、義歯清掃指導やプロフェッショナルケアをルーティンとして実践してほしい」と参加者に向けてあらためてメッセージを送り、講演を締めくくった。