社会|2024年5月23日掲載

外部講師に一瀬智美氏を招聘

S.O.N.Y-MED(福岡高齢者医療研究会)、Webセミナーを開催

S.O.N.Y-MED(福岡高齢者医療研究会)、Webセミナーを開催

 さる5月21日(火)、S.O.N.Y-MED(福岡高齢者医療研究会、中尾 祐会長)によるWebセミナーが開催され、歯科医療関係者を中心に50名以上が参加した。

 今回は外部講師として招聘された一瀬智美氏(株式会社ワールドデンタル医療事務部)による特別講演「〜令和6年度医療・介護W改定をやさしく解説〜高齢者・訪問診療に関わる算定の理解」が行われた。

 一瀬氏は、令和6年度診療報酬改正において、主な変更点や新設項目などの要点を中心に解説。冒頭、医療完全・感染対策における評価として歯科外来診療環境体制加算(外来環)と入れ替わる形で新設された歯科外来診療医療安全対策加算(外安全)、歯科外来診療感染対策加算(外感染)(ともに12点)において、算定するにあたり満たす必要のある基準について説明した。

 次に、本改定の大きな変更点として注目されている、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の廃止にともない、入れ替わる形で新設された口腔管理体制強化加算(口管強)(50点)の施設基準について解説。特に「過去1年間にエナメル質初期う蝕管理料又は根面う蝕管理料をあわせて12回以上算定していること」という文言の追加を中心に、必要な算定回数実績や連携体制の確保についてふれた。なお、2024年3月末時点で外来環また、か強診の届出を出している歯科医院においては、前者は外安全・外感染、後者は口管強の算定を行う場合には2025年5月の経過措置の期限内までに届け出る必要があることが強調された(2024年6月時点での届出は不要)。

 続いて、小児口腔機能管理料と口腔機能管理料(ともに60点)について新設された歯科口腔リハビリテーション料3(50点)にふれつつ、それぞれの算定要件に言及。なかでも口腔機能低下症の診断基準となる1)咀嚼能力、2)咬合圧、3)舌圧――3つの検査項目において算定するための施設基準や要点を供覧した。なお、同時算定が可能な組み合わせは「舌圧」と「咀嚼能力」もしくは「舌圧」と「咬合力」であることが補足された。

 その後は、新設項目である根面う蝕管理料とエナメル質初期う蝕管理料(ともに30点)においてそれぞれ口管強届出の有無に分けた改定後の算定フローが解説された。その他では、診療情報等連携共有料1(120点)の算定において提供手段が「文書」に限定されていたのが「文書等(電話、FAX、電子メール等によるものを含む)」に拡大されたことに加えて同2(120点)の別の保険医療機関(歯科診療を行うものを除く)からの求めに応じて診療情報を文書により提供した場合の評価の新設が説明された。そして、歯冠修復・欠損補綴の適用拡大と変更点として、ブリッジの支台に限り小臼歯にレジン前装金属冠を用いることや、要件はあるものの大臼歯にCAD/CAM冠・インレーを作製することが可能になったことが言及された。

 講演後の質疑応答では、症状が改善され病名が外れた後の管理料の算定の可否や、内科や訪問看護師などの多職種と連携した際の評価がこの場で質問されるなど、解釈の難しい点や運用準備を進めていく過程で生じた疑問などが多数寄せられ、本改定における関心の高さがうかがえた。

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