学会|2025年4月21日掲載
「顕微鏡歯科学の未来~卓越と革新~」をテーマに約600名が参集
日本顕微鏡歯科学会第21回学術大会・総会が開催
さる4月18日(金)から20日(日)の3日間、徳島大学蔵本キャンパス大塚講堂(徳島県)において、日本顕微鏡歯科学会第21回学術大会・総会(保坂啓一大会長、中西 正実行委員長、三橋 晃会長)が「顕微鏡歯科学の未来~卓越と革新~」をテーマに、約600名の参集により盛大に開催された。
初日はまず開会式が行われ、会長の三橋氏(神奈川県開業)、実行委員長の中西氏(徳島大学大学院)がそれぞれ挨拶した。その後、基調講演、特別講演、シンポジウム、教育講演、歯科衛生士シンポジウム、大会長賞受賞講演、AMED(Academy of Microscope Enhanced Dentistry)、歯科衛生士セッション、一般口演、ポスター発表、ランチョンセミナーなどの多数のプログラムが行われた。
そのなかでも、1日目の基調講演で保坂氏(徳島大学大学院)は、「微視的視点から見たダイレクトボンディングの進化と大いなる可能性」と題して講演。コンポジットレジン修復の成功は接着に基づいていることを強調し、接着界面についての自身の基礎研究を含め多数の報告を解説した。さらに、術者の技量が大きく結果を左右させてしまうことを解決するため、シリコーンで製作されたインデックスにコンポジットレジンを注入し充填する“クリアインデックステクニック”を応用した症例を供覧した。
また辻本真規氏(福岡県開業)は、「顕微鏡歯科治療のベーシックスキルを極めよう」と題して教育講演を実施。自身が行っているセミナーで散見したマイクロスコープの使用方法の誤りを挙げ、視度調整や眼幅調整の具体的なチェック方法を紹介。そのうえで、マイクロスコープの拡大視野で見るとともに、解剖学などの知識をもって病態を理解することの重要性を指摘した。
さらに、「Advanced Dental Microscope Ergonomics Systematic approach for Posture, Positioning and Performing quality dentistry」と題して講演したJuan Carlos Ortiz Hugues氏(パナマ共和国開業、AMED会長)は、マイクロスコープ下で人間工学に基づいた姿勢で診療を行うことの重要性を解説。米国の複数の大学への調査により判明した70%の歯科医師および歯科衛生士が筋骨格系の疾患を負っているという調査結果を示し、術者を起点にしたポジショニングや、アシスタントの重要性などを指摘し、さらに術中において20分ごとにストレッチを行う自身のルーティンワークを紹介した。
2日目にも、さまざまな講演やシンポジウムなどを実施。なかでも、シンポジウム2「ペリオドンタルマイクロサージェリーの卓越と革新」では、中田光太郎氏(京都府開業)、菅田真吾氏(大阪府開業)、安斉昌照氏(神奈川県開業)が、拡大視野下の歯周形成外科治療における、具体的なテクニックや工夫点について紹介。結合組織の採取方法においては各者で異なる手技を用いており、ディスカッションにて会場から多くの質問が投げかけられていた。
なお、大会長賞には椋 由理子氏(徳島大学大学院、山口県勤務)による「ブラックトライアングル閉鎖のためのコンポジットレジン修復症例:複数のアクセスホールを有する改良型マトリックスの応用」、最優秀ポスター賞には池尻 敬氏(福岡県開業)による「補綴装着時の下部鼓形空隙における余剰セメント対策~シリコンチューブとPTFEテープを用いたアプローチ~」がそれぞれ選ばれ、来年の学術大会において講演が行われる予定である。
次回の日本顕微鏡歯科学会第22回学術大会・総会は、きたる2026年4月17日(金)から19日(日)の3日間、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都)において開催予定である。