社会|2025年8月20日掲載
大野友久氏が「口から支えるエンドオブライフ―まだあります歯科のできること―」をテーマに講演
S.O.N.Y-MED(福岡高齢者医療研究会)、Webセミナーを開催

さる8月19日(火)、S.O.N.Y-MED(福岡高齢者医療研究会、中尾 祐会長)によるWebセミナーが開催され、歯科医師や歯科衛生士を中心に30名以上が参加した。
今回は、外部講師として招聘された大野友久氏(陵北病院歯科部長)による講演「口から支えるエンドオブライフ―まだあります歯科のできること―」が行われた。
冒頭、大野氏は「口は全身を映し出す鏡である」と述べ、終末期における口腔ケアをはじめ歯科が積極的にかかわることで、患者さんのQOLの維持・改善はもとより尊厳を守ることにつながるとした。また、終末期におけるがんと非がんの2つに分け、特に前者では死亡直前に口腔内状態が悪化するため、終末期の口渇を改善するための口腔ケアの有効性について多数のデータを示した。さらに、口腔ケアは家族ケアにも寄与できるとしたうえで、家族の気持ちを支えることができる歯科による適切なサポートの必要性についても解説した。
次に、終末期と経口摂取の関係性についてふれながら、「食べることを支える」ための歯科が果たすべき役割について多数のデータを供覧。なかでも死亡5日前まで約半数の患者さんが経口摂取している自身の研究データを示しながら、1食の大切さを強調するとともに、歯科的対応について先を見据えた取り組みの必要性や食支援の大切さを強調した。
また、近年増加傾向にある認知症患者に言及。残存歯を多く有する認知症患者が増加している現状について、口腔内状態の悪化や経口摂取量の低下をなるべく起こさないためのかかわり方や、状況に応じた具体的な対応法(嚥下おでこ体操やとろみシャーベットなど)を提示するなど、参加者らの注目を集めた。