社会|2025年9月2日掲載

形状記憶材料がもたらす新しいアライナー矯正治療のかたち

第2回日本インハウスアライナー矯正歯科研究会開催

第2回日本インハウスアライナー矯正歯科研究会開催

 さる8月30日(土)、31日(日)の両日、東京ポートシティ竹芝(東京都)において、第2回日本インハウスアライナー矯正歯科研究会(日本アライナー矯正歯科研究会主催、尾島賢治大会長)が、現地開催とWeb配信のハイブリット形式で開催され、国内外から合計250名以上の参加者を集めた。

 本大会では2日間にわたり、形状記憶機能を有するインハウスアライナーを用いた小児治療、抜歯治療、歯周治療やインプラント治療、外科治療との併用、院内製造プロセスにおけるチーム連携などをテーマに、20題の講演が行われた。

 このうち、大会長の尾島氏(東京都開業)は、「Graphyアライナー矯正治療を使用した抜歯症例の新戦略」と題し、形状記憶材料で作製するインハウスアライナーを用いた抜歯治療において、ボーイングエフェクトを防ぐための対策を紹介した。氏は、アライナーの抜歯部位に形状記憶機能を有するブロック状の装置を付与することで、隣在歯の望ましくない傾斜移動に対する反作用が生じ、歯の平行性を保ったまま抜歯スペースの閉鎖が可能になると述べた。また、「従来の熱成形アライナーでは起こりやすかったアンフィットの問題も形状記憶材料では起きにくいため、特に抜歯治療においては大きな優位性をもつ」とした。

 特別依頼講演では、菅原準二氏(宮城県開業)が「Surgery Firstとクリアアライナー」と題し、自身が提唱した「サージェリーファースト法」とアライナー矯正治療の併用について、症例を供覧しつつ解説した。サージェリーファースト法では術前矯正を行わないため、従来法に比べて側貌の審美性の早期改善と治療期間の短縮が可能である。またインハウスアライナーは、資料採得からアライナーの製造・引き渡しまで最短で即日に完了できるため、その登場により術後早期に矯正歯科治療が開始できるようになり、より治療の質を担保しつつ患者に負担をかけない治療が可能になったと述べた。

 その他、歯科医師と歯科技工士、歯科医師と院内スタッフによる共同発表も行われ、インハウスアライナーに付与できる新しい装置の開発や、インハウスアライナー導入のための取り組み、チーム連携のためのスタッフ教育などについてさまざまな知見が共有され、盛会のうちに終了した。

 なお、第3回日本インハウスアライナー矯正歯科研究会は、きたる2026年8月29日(土)、30日(日)の両日、同会場で開催予定である。

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