社会|2025年9月2日掲載

「ティップエッジ矯正の本質に迫る」をテーマに約110名が参集

第42回日本ティップエッジ矯正研究会東京大会が開催

第42回日本ティップエッジ矯正研究会東京大会が開催

 さる8月30日(土)、31日(日)の両日、KABUTO ONE HALL(東京都)において、第42回日本ティップエッジ矯正研究会東京大会(竹中宏隆大会長、宮島邦彰会長)が「ティップエッジ矯正の本質に迫る」のメインテーマにより開催され、2日間にわたり教育講演、特別講演、会員発表が行われた。同研究会会員を中心に約110名が参加して盛大に開催された。

 同研究会は、1986年にピーター・ケスリングにより開発されたティップエッジテクニックの学術および技術の進歩、発展のため1992年に創設。東日本支部、中部支部、西日本支部の3支部で活動しており、年1回、全国大会を開催している。

 1日目はまず開会にあたり、竹中氏(東京都開業)が「日ごろから臨床応用しているティップエッジテクニックの有益さを突き詰めるため、その歴史的な背景をもう一度確認し、そのすばらしさを共有することのできる大会にしたい」と挨拶した。

 続いて、麻生昌秀氏(東京都開業)がコーディネーターを務め、宮島邦彰氏(愛知県開業)が「ティップエッジテクニックのパラダイムシフト;Physiologic Orthodontics(フィジオロジックオルソドンティックス、生理的矯正)」と題して講演した。まず、麻生氏がティップエッジテクニックのオリジナルテクニックの概要について、1993年に米国のケスリングセンターで行われたレクチャーの写真とともに紹介。そして、自身が現在、感じる臨床上の疑問点を挙げた。その後、その疑問点に対して宮島氏が、原法の考え方と、さらに自身の最新の見解を解説した。なかでも、審美面のみならず生理的な顎位に導くための診断項目の追加と、TADs(temporary anchorage devices)の登場によるテクニックの進化を強調して説明した。

 2日目は、金成雅彦氏(山口県開業)が「ティップエッジブラケットの有用性とTADを用いた様々な矯正治療について」と題して特別講演。金成氏は1996年から宮島氏に師事しティップエッジテクニックを臨床応用しており、初めて全顎に行った矯正歯科治療の症例など、13症例を供覧。金成氏は、地方で開業する一般開業医として「患者に総合的な歯科治療を提供することが重要」とし、矯正歯科治療のテクニックや診断方法のみならず、不定愁訴や欠損歯列への対応など、患者個々の主訴に対応して治療していくことの重要性を述べた。

 続いて会員発表が行われた。以下に演題と演者を示す。

「Tip-Edgeテクニックを使った3症例とより効率的な治療法の提案」伊藤俊之氏(静岡県開業)
「下町のごく普通の開業医でも出来る、矯正治療の一例」坂口智計氏(兵庫県開業)
「矯正治療と補綴治療により審美的改善を図った重度歯周炎症例」斎田寛之氏(埼玉県開業)

 さらに、上野博司氏(東京都開業)が特別講演2として、「包括的歯科治療におけるTip-Edgeシステムの有用性について」と題して講演。上野氏は、埋伏歯や先天性欠如、反対咬合に対応した症例や、かかりつけ医として4名の母子へ行った矯正治療の長期症例を供覧。「長期間にわたって患者に感謝され信頼が得られたのも、宮島先生のティップエッジテクニックや教えのおかげ」と総括していた。

 次回の全国大会は、きたる2026年8月22日(土)、23日(日)に愛知県で行われる予定。

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