2022年4月1日掲載
Dr. Hiro的思考 歯科医療従事者のための文献レビューのススメ(第4回)
第4回:口腔内細菌と宿主はどんな関係なのか?
Radaic A, Kapila YL. The oralome and its dysbiosis: New insights into oral microbiome-host interactions. Comput Struct Biotechnol J. 2021 Feb 27;19:1335-1360.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7960681/
Radaic A, Kapila YL. The oralome and its dysbiosis: New insights into oral microbiome-host interactions. Comput Struct Biotechnol J. 2021 Feb 27;19:1335-1360.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7960681/
今回は“読者ウケ”を狙っていない。むしろ嫌われるかもしれない。26ページにわたるこの大作は、文献抄読会で回ってきたら“ハズレ”だし、文献コピーの“重さ”にめげずにこれを選ぶ人は変人である(私を含めて)。でもでも、時間をかけて読み終えたあなたは“プチ細菌学者”になれるのだ。少しずつ読んでいると5月になってしまうかもしれないが、この連載にかかわらず読み進めていただきたい。著者はKapila教授率いるカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のメンバー。
このレビューを読むきっかけは、本論文でオラローム「oralome」という言葉がつくりだされたから。他のレビュー論文を読んでいるときに孫引きでたどり着いた。著者の定義によると、オラロームとは「口腔内微生物と宿主の相互関係の総体」である。個々の遺伝子「gene」を網羅的に総体として捉える場合はゲノム「genome」というし、個々のタンパク質「protein」の場合はプロテオーム「proteome」と表現する。オーム「ome」は“whole part of”という意味なのだ。なので、オラローム「oralome」という表現は気が遠くなるくらい壮大な捉え方ということになる。なぜなら、この場合の微生物には細菌「bacteriome」だけでなく、ウイルス「virome」、真菌「mycobiome」、原生動物「protozoome」、古細菌「archaeome」が含まれるからだ。
本レビューの良いところは、壮大な内容であるにもかかわらず、各項目は案外シンプルにまとまっていること。シンプルなので、もっともっと深く知りたい読者のために最新のレビューを各項目の最後に紹介している。なので、見事プチ細菌学者になった折には、参考文献にも触手を伸ばして体系的に学ぶこともできる。ただし、最初から触手を伸ばすと“エライこと”になるので要注意(経験者は語る)。読者の力量に合わせて読みこなしていただきたいところだ。
言葉や仮説などを紹介するときに、必ず“言い出しっぺ”はだれなのか記載されているのはありがたい。「ご存じのとおり……」というフレーズで“あやふや”にされると、読後の感覚も“あやふや”なままだ。そして本レビューの圧巻は、なんといってもFig.3。歯周病の病因論に関する仮説(プラーク仮説)を時系列にシンプルなイラストでまとめている。シンプルにするために若干強引なところもありそうだが、これを見ただけでなんだか“得した気分”になってしまう。
今回は読んで得した気分になる論文、できればだれにも教えたくない論文。そんな論文を“こっそり”紹介しました。(だれにも教えたらアカン……)

このレビューを読むきっかけは、本論文でオラローム「oralome」という言葉がつくりだされたから。他のレビュー論文を読んでいるときに孫引きでたどり着いた。著者の定義によると、オラロームとは「口腔内微生物と宿主の相互関係の総体」である。個々の遺伝子「gene」を網羅的に総体として捉える場合はゲノム「genome」というし、個々のタンパク質「protein」の場合はプロテオーム「proteome」と表現する。オーム「ome」は“whole part of”という意味なのだ。なので、オラローム「oralome」という表現は気が遠くなるくらい壮大な捉え方ということになる。なぜなら、この場合の微生物には細菌「bacteriome」だけでなく、ウイルス「virome」、真菌「mycobiome」、原生動物「protozoome」、古細菌「archaeome」が含まれるからだ。
本レビューの良いところは、壮大な内容であるにもかかわらず、各項目は案外シンプルにまとまっていること。シンプルなので、もっともっと深く知りたい読者のために最新のレビューを各項目の最後に紹介している。なので、見事プチ細菌学者になった折には、参考文献にも触手を伸ばして体系的に学ぶこともできる。ただし、最初から触手を伸ばすと“エライこと”になるので要注意(経験者は語る)。読者の力量に合わせて読みこなしていただきたいところだ。
言葉や仮説などを紹介するときに、必ず“言い出しっぺ”はだれなのか記載されているのはありがたい。「ご存じのとおり……」というフレーズで“あやふや”にされると、読後の感覚も“あやふや”なままだ。そして本レビューの圧巻は、なんといってもFig.3。歯周病の病因論に関する仮説(プラーク仮説)を時系列にシンプルなイラストでまとめている。シンプルにするために若干強引なところもありそうだが、これを見ただけでなんだか“得した気分”になってしまう。
今回は読んで得した気分になる論文、できればだれにも教えたくない論文。そんな論文を“こっそり”紹介しました。(だれにも教えたらアカン……)
