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2022年5月9日掲載

Dr. 角祥太郎の歯科 大航海時代を乗り切るための航海術(第5回)

Dr. 角祥太郎の歯科 大航海時代を乗り切るための航海術(第5回)
第5回:歯科医院が目指す目的地の設定

目的地をものすごく明確にすることの大切さ
 今回は「歯科医院が目指す目的地の設定」について解説します。目的地の設定が上手くいかない場合、リーダーがやる気を出すほど知らぬ間に現場がシラけ、歯科医院の雰囲気が悪くなり、なんとなく診療もやりづらくなることが多々あります。

 かくいう私も目的地の設定の仕方がわからず、散々現場をシラケさせた経験があります。当時の私はなぜ現場がシラケるのかをまったく理解できず、勝手に一人で不安になり、その不安を隠すために私の声はやたらと大きくなり、現場との温度差がさらに大きくなる……そんな泥沼にハマったこともあります。

 そんな状態では、院長が医院内でリーダーシップを十分に発揮することはかなり困難になり、診療や経営にも集中しきれなくなってしまいます。では、どうすればよいのか? その答えはシンプルで、目的地をものすごく明確にすることです。そしてこの「」というところがポイントです。

 歯科医院を船と例えてみましょう。目的地のハッキリしない船の中では船員たちが安心して航海を続けることはできません。「俺はアメリカ大陸を目指す!」と船長が言っても、目的地とする場所が広すぎるので船員たちはピンときません。「アメリカといえばあそこだろ!察しろ!」と船長がヤキモキしても事態は解決しません。「アメリカの西海岸のこの港に何時までに行こう」と細かく伝えることで、船員たちは何を準備して、何に気を付ければいいのか?と具体的にイメージができ、結果として不安が少ない航海ができます。

院長の目的地をスタッフに細かく具体的に伝える
 歯科医院も同じです。わが歯科医院が目指すものは何か?譲れないものは何か?何を患者さんに提供したいのか?スタッフは何を意識して働いていてほしいのか?自院が新人スタッフに求める雰囲気とは具体的にどのような雰囲気なのか? 院長はスタッフに細かく具体的に伝えることが大切です。現場に不安が蔓延しリーダーシップが発揮しきれない場合、その原因の大半は院長の意図や言葉が現場に十分に伝わっていないことにあります。伝えていると伝わっているかはまったく別問題なのです。個人の理解能力や社会人としてのお作法がなっていないなどの問題もあるかもしれませんが、まず伝える言葉を細かく具体的にすることが大切です。

 そもそも「いい○○」という言葉のイメージが大きすぎるので「みんなでいい歯科医院にしよう」ではざっくりしすぎていて伝わりません。「説明が十分な医院こそがいい」のか「患者さんの話を十分に聞く医院がいい」のか、院長の求める価値観と言葉の意図するものがハッキリわからなければ現場は動きづらくなります。「いい歯科医院とは説明をする歯科医院だ」と思っている院長の元で、良かれと思って患者さんの話を延々と聞いているスタッフがいたとして、そのスタッフさんに対して院長が「話を聞いてばっかりではダメだ」と言った瞬間にスタッフのテンションは下がり、それを見た周りのスタッフも委縮することでしょう。だれも得をしないこのような状況は、リーダーが現場に「細かく伝えていない」というシステムエラーによって起こります。院長が熱いリーダーシップを発揮するためには冷静に細かく伝えることも大切なのです。

 院長は自分でリスクを取り、先を見て大きな目標をつねに考えています。そのため、伝える言葉も大きくなりがちですし「言わなくても察してほしい」と院長は考えてしまいがちです。一方、現場は現場で、組織の役に立ちたいという想いで院長の目的地の詳細を知りたがっています。歯科の大航海時代の荒波の向こう側の目的地が、ものすごく明確にできているかを再確認してみてはいかがでしょうか。

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