第16回（最終回）：最終回によせて （本記事は、「QDT 2019年」（4月号）より抜粋して掲載。） 　さて、これまで16回にわたり書いて参りましたコラムですが、みなさまへのお目汚し大変失礼いたしました。ここまでお付き合いくださり本当にありがとうございました。 　みなさんご存知の通り、私は女性歯科技工士の代表でもなければ、特別に歯を作るのが上手い歯科技工士でもありません。若い歯科技工士の方や、今増えつつある女性の歯科技工士の方がぶち当たる壁や悩み、思い...

第15回：超会社員級のプレーヤーになるために （本記事は、「QDT 2019年」（3月号）より抜粋して掲載。） 　転職を余儀なくされ、6年ぶりに私は元の会社に戻った。正直、本当に凹んだ。でも、2回も産休育休を取らせてくれた恩義のある会社に、6年かけて勉強したことを還元できることはむしろ良いことなのだろう……と、前向きに考えることにした。 　しかし。戻った当初の会社は以前と変わらず保険が9割で、自費といえばハイブリッドとメタルセラミックスだけ。ジルコニアやプ...

第14回：小4の壁もとい小5の壁 （本記事は、「QDT 2019年」（2月号）より抜粋して掲載。） 　長女が小3の時まで、学童は小1から小3までしか入れなかった。多くの地域がそうらしい。4年生からは自立しなければならないという。ここでまた働くお母さんたちは躓く。だから世間で「小4の壁」とよばれる。個体差はあっても小4なんて本当に子供。学校の日はお留守番も夕方の2時間くらいだけど、長期休みには朝から晩までひとりで生活しなきゃならない。いやいやいや、無理でしょ！？　少なくともうちの頼りない娘は無理！　...

第13回：業界のデジタル化と私の歩く道 （本記事は、「QDT 2019年」（1月号）より抜粋して掲載。） 　2014年にCAD/CAM冠が保険収載され、業界のデジタル化が現実となって私は急に焦りだした。いつでも遅い。それまでもいろいろ見聞きしてきたはずなのに、そうなって初めてやっとお尻に火がつく。なんとなく目を背けてきたこともあり、勉強不足で分かっていないから余計に焦る。歯科技工士は要らなくなってしまうの？　自分はどうなってしまうの？　ダメな人の典型的な焦り方。とにかくその頃は、CAD/CAM関係...

第12回：小1 の壁 （本記事は、「QDT 2018年」（12月号）より抜粋して掲載。） 　長女が小学校に上がり、学校の敷地内にある学童にも無事に入所が決まった。長女の登校は私の送り迎えもなくなり、自動的に学校に行ってくれて、自動的に帰って来てくれる。私はやりたい仕事を習得するために遠い会社に通い始めた。長女の登校はオートメーション化されたけど次女は保育園なので、私が時間に追われていることは変わらない。ここから次女が小学校に上がるまでの3 ～ 4年間くらいが、長女と私にとって精神的にもっとも辛かっ...

第11回：時間がないなりの工夫 （本記事は、「QDT 2018年」（11月号）より抜粋して掲載。） 　2度の転職を経て、ようやく全部の仕事がやりたかった仕事になった。ただ、3番目の会社は家から遠かったために通勤時間もかかり、私が仕事にかけられるもち時間はさらに減った。やりたい仕事はできるようになったけれど、シェードテイクなどチェアに出向く時間まではとてもなかった。そんな時に、シェードの写真やセット後の写真など、データでのやり取りがとてもありがたかった。いただ...

第10回：うっかりセクハラおじさん認定 されないための心得 （本記事は、「QDT 2018年」（10月号）より抜粋して掲載。） 　はてさて、前回暴走気味に会社を辞めた私ですが（その続きは次回するとして）、この暴走迷走時期はいろんな意味で私の変革期。仕事をする意識も環境も変わり、歯科技工士に限らず、歯科関係者の知り合いが爆発的に増えた。そうすると、今までは思いもしなかった悩みが出てくるようになるわけで……。 　歯科技工士学校の男女比が半々になったとはいえ、...

第9回：転職 （本記事は、「QDT 2018年」（9月号）より抜粋して掲載。） 　私は青嶋ゼミに行くということで自分のために自己投資をした。投資したからには回収しなければ。だって自腹なのだもの！この辺の気持ちは、会社に受講料を出してもらって通う人よりはずっと強いはず。だって自腹なのだもの！！（← 2回目）。投資というと、お金、損・得、のイメージで捉えられがちだが、私は投資の本質は「将来のために行動を起こすこと」と考えている。だから、ここでいう回収はお金ではな...

第8回：転機と卒後教育機関 （本記事は、「QDT 2018年」（8月号）より抜粋して掲載。） 　次女0歳の4月。無事に保育園に入園もできて、二度目の職場復帰。その年の夏、父の病気が発覚した。今すぐに亡くなってもおかしくない状態の脳腫瘍。著述業の父は、仕事復帰することだけが病気と戦う糧だった。仕事柄、脳の病気をしたということが世の中に知れると干されるということもあり、父は「病気のことを誰にも話すな」と家族に言った。父は本当の理由を隠して初めて連載を休んだ。父の...

第7回：仕事復帰と保育園入園後のあれこれ ② （本記事は、「QDT 2018年」（7月号）より抜粋して掲載。） 　ここまですべて順調に転がって上手くいっているかのように見えますが、実際はそうではありませぬ。 　私にとっても会社にとっても「産休育休」自体が初めてのことだったので、お互いに先の予測が立たなかった。会社は「藤井は半年後に戻ると言っているけど本当に戻ってくるのか？」と思っていて、私も「保育園に入れるのだろうか？」「保育園に入ったとして復帰して実際にやっていけるのか？」と思っていた。...

第6回：仕事復帰と保育園入園後のあれこれ ① （本記事は、「QDT 2018年」（6月号）より抜粋して掲載。） 　保育園入園が決まって、晴れて私は仕事復帰のスタートラインに立てた。仕事はフルタイム時の2 / 3 の量にしてもらい、当然お給料もそれに準じて2 / 3 に。これで私は9時～17時で帰れる人にもなった。会社のシステムは「定数制」で、お給料によって毎日の仕事量が決まっていた。稼ぎたい人は自分の定数を増やせばよくて、お金より時間が欲しい人は定数を減らせばいい。自由に決められる。このシステム...

第5回：社会保険とお金のこと　～人を雇う／雇われる～ （本記事は、「QDT 2018年」（5月号）より抜粋して掲載。） 　私は長女次女と、半年×2回の産休育休を取ったのちに職場復帰しているが、その2回の産休育休でかなりの社会保険の恩恵を受けている。私の場合、貰った金額や、年金の養育特例（子が3歳になるまではフルタイムで働いていた時と同じ額の収入を得ているものとして年金を支払っていることになる制度）などで、当時、合わせて200万円以上社保のお世話になった。手...

第4回：認可保育園入園にまつわるあれこれ ② （本記事は、「QDT 2018年」（4月号）より抜粋して掲載。） 　さて。私がした保育園入園対策……、とも言えないような対策。 　まずは0歳児からの入園・職場復帰の選択。0歳からの入園理由は前回の通り。たとえば0歳児で6名募集があっても、1歳児の募集は2名、2歳児は1名……、というように1、2歳児で入れることは、まぁまず無理。認可保育園の選考基準は点数制で、各家庭の状況がすべて点数化される。月20日以上の正社員、1日8時間以上のフルタイム勤務で20...

第3回：認可保育園入園にまつわるあれこれ ① （本記事は、「QDT 2018年」（3月号）より抜粋して掲載。） 　産休育休を取る人が、お休み明けにきちんと会社に戻ってこられるように、「ラボ同士の横のつながり」を作ってもらうことを提案している私。育休中の子が休んでいる間の仕事を「下請け先」としてお手伝いし合える、信頼し合えるラボ同士の関係を築いておいて欲しいということ。今後もっと女性歯科技工士の割合が増えてくるなら、その時期だけそこで勤務するフリーランス...

第2回：「褒めて伸ばす」と「怒られない工夫」 （本記事は、「QDT 2018年」（2月号）より抜粋して掲載。） 　院内ラボとか患者さんに近いところで働いていれば、自分の作った物の結果はすぐに分かるよね。でも私みたいに普通の町のラボで働く者は、なかなか相手の顔が見えない。患者さんどころか先生の顔すら見えてこない時もある。大きな補綴物を作るようになれば、先生との相談やシェードテイクなどの立ち会いの機会も得られるようになってくるのだけれど、若手の頃は自分が作った...

第1回：女学生目線の会社選び （本記事は、「QDT 2018年」（1月号）より抜粋して掲載。） 　今の技工学校の学生さんは、どういった基準で会社選びをしているのだろう？ 　学校に来る求人票や乏しい人脈から得られる情報なんてほんとに少ない。かくいう私も歯科関係の親戚も知り合いもいなくて、この業界に関する情報は皆無だった。学校の先生から聞きかじった知識がちょっとだけあるくらいで、コネ無し、色眼鏡無しの普通の一女子の会...