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2012年3月28日

東京歯科大学大学院歯学研究科、「口腔がん専門医養成コースフォーラム」特別講演会・成果報告会を開催

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 さる3月28日(水)、東京ドームホテル(東京都)において、東京歯科大学大学院歯学研究科による「口腔がん専門医養成コースフォーラム」特別講演会・成果報告会が開催された。同研究科は、平成19年度からスタートしている文部科学省大学改革支援事業「がんプロフェッショナル養成プラン」に歯科大学で唯一参加しており、口腔がん専門歯科医師の養成のための「口腔がん専門医養成コース」を平成20年度より新設している。平成23年度が同事業の最終年度となることから、今回のフォーラムでは「口腔がん専門医養成コース」における成果報告や特別講演などが行われた。

 会場では、特別講演1「消火器がんの低侵襲療法の開発とがん専門医教育の両立」題するテーマで北川雄光氏(慶応義塾大医学部外科学教室教授)が登壇。最新の低侵襲の外科手術として、腹腔鏡下胃切除手術、腹腔鏡下大腸手術、胸腔鏡下食道切除手術、そして臍にひとつの孔だけを開けて大腸をとりだし手術する単孔式腹腔鏡下回盲部切除手術、体表部に傷をつけず経腟的に内視鏡手術をするNOTES、ロボット手術のde Vinci Sの術中ビデオを供覧した。また臓器機能温存療法としてSentinel Node Navigation Surgeryのビデオを供覧した。若手の育成にはこれらの手術を動物実験で体験できる実験施設もそろえているという。

 続く特別講演2「ナノテクノロジーはがんの診断・治療をどう変えていくのか?」と題するテーマで登壇した芝 清隆氏(公益財団法人がん研究会がん研究所蛋白創製研究部部長)は、ナノテクノロジーとは何かを歴史を振り返りながらやさしく解説し、これまでは産業分野にあまり貢献することができなかったが、現在ではインプラントの開発に貢献したり、がんの治療・診断に用いられるようになっていることを解説した。

 その後の成果報告会では、益田典幸氏(9大学運営会議議長・北里大大学院医療系研究科呼吸器内科学教授)は、「『南関東圏における先端的がん専門家の育成/患者中心のチーム医療を牽引する人材育成の拠点づくり』プラン概要および達成度」と題して、平成20年~23年まで毎年8月の9大学合同合宿でのチーム医療ワークショップのカリキュラムと達成度を示された。片倉 朗氏(東歯大オーラルメディシン・口腔外科学教授)は、東京歯科大学のがんプロフェッショナル養成プランのコースプログラムについて講演した。大学院の1年次には口腔外科診断学・治療学の基本的事項の習得、臨床腫瘍学の基本事項の習得、臨床研究のデザイン法の習得、チーム医療における歯科医療の責務の理解が到達目標となる。2年次には臨床腫瘍病理・放射線診断学・口腔がんの診断と治療の基本、3年次には放射線治療学・化学療法・緩和ケアの習得、一般外科研修において周術期管理の習得、口腔がんの診断と治療についての知識・技能・態度の習得、4年次には口腔がんの診断と治療についての知識・技能・態度を習得し、チーム医療のなかでの役割を担っていけるようにする、学位論文の作成・診査となっていると報告した。

 また、海外研修報告として石崎 憲氏によるUCLA歯学部顎顔面補綴科への留学体験報告、大久保真衣氏(ともに東歯大講師)によるフロリダ大学での頭頸部放射線療法における摂食嚥下リハビリテーションの研修報告が行われた。さらに、同がんプロフェッショナル養成プラン修了生として、河地 誉氏(亀田総合病院歯科センター)による研修体験報告が行われた。

 最後に井上 孝氏(東歯大大学院研究科長)は、患者さんにとってよりよい医療を提供できるようこれからも人材の育成に力を注いでいきたいとまとめた。