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2012年7月1日

コバルトクロム補綴の可能性 Ver.2 東京が盛大に開催

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 さる7月1日(日)、国際ファッションセンター(東京都)において、講演会「コバルトクロム補綴の可能性 Ver.2 東京 ―Co-Crクラウンブリッジの広範な臨床応用への道筋―」が開催された(スタディグループJAPAN CRAFT〔JPI〕、日本歯科商社共催)。本講演会は、近年の金合金の価格高騰を受け、その存在が再評価されているコバルトクロム合金(以下、Co-Cr)の可能性を標題のとおり追求する趣旨で開催されたもの。昨年12月に大阪府で同じ趣旨のもと開催された講演会に引き続き、こちらも200名を超える歯科関係者が参集する盛会となった。以下に、演者・演題とその概要を示す。

(1)「コバルトクロム合金の特性と現在の役割」(高橋純造氏、〔株〕アイディエス技術顧問,阪大名誉教授)
 本演題ではまず、歯科用金属をめぐる歴史やCo-Crの定義、および配合される諸元素の役割などが示された後、とくに他の歯科用金属にくらべて溶出量が少ないことや細胞毒性実験における良好な結果、およびパッチテストにおける良好な結果などから、Co-Crの安全性について詳説。「Co-Crは歯科用金属の中でもっともアレルギーが少ないと考えられる」と結論づけた。また、後半では技工操作における注意点について言及し、高融点であるがゆえの鋳造機の選択やスプルーイングの要点、および酸化膜への対応などに付いて述べた後、「(Co-Crは)高融点、酸化しやすい、鋳造収縮が大きい、という3つの点に配慮した歯科技工を行えば十分に『使える』合金である」と締めくくった。

(2)「Co-Crクラウンブリッジの応用と臨床的到達点」(重村 宏氏、Japan Prosthetic Dental Laboratory)
 本演題ではまず、これまで何がCo-Crの歯科技工を阻んできたのかを概観。硬すぎること、鋳造収縮が大きいこと、鋳肌が荒れること、そして酸化膜がつきやすいことなどを示した上で、「従来から良い材料であることは分かっていたが、金合金がまだ安かった時代にはあえてこうしたリスクを乗り越えてまで使う意味がなかった」「こういった理由から、すぐれた材料であるにもかかわらず、鋳造床の分野でしか生かされてこなかった。そこを解決しなければならない」と述べた。その後は、氏ならではの技工テクニックを次々に披露。遠心鋳造機におけるルツボへのメタルインゴットの置き方や溶解のポイント、そして埋没用リングを半分の長さに切りつつ、ライナー材は従来のままの長さのものを使用して埋没材の膨張をコントロールするテクニック(ハーフパイプテクニック)や陶材用の材料を用いた研磨テクニックに至るまで、まさに現状の臨床の中でCo-Crを生かしきるための内容としていた。