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2013年4月14日

第8回奥羽大学歯学部同窓会卒後研修セミナー開催

「高齢者の歯科診療、さらに一歩進んで」をテーマに

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 さる4月14(日)、日本薬学会長井記念館(東京都)において、第8回奥羽大学歯学部同窓会卒後研修セミナー(奥羽大学歯学部同窓会主催、板倉正大会長)が「高齢者の歯科診療、さらに一歩進んで―口腔乾燥・摂食・嚥下障害・要介護高齢者―」をテーマに開催された。同会が高齢者歯科医療をテーマにセミナーを開催するのは今回が初の試みであったが、多くの若手歯科医師を含む200名以上の参加者を集めて大盛況となり、この問題への関心の高さがうかがえた。

 午前には植田耕一郎氏(日大歯学部教授、奥羽大学客員教授)が「診療所を核にした「かかりつけ歯科医」の摂食機能療法と訪問診療の始まり」と題して講演を行った。まず「訪問診療」「摂食機能療法」ありきではなく、あくまで「診療所」が主体である点を強調。つまり、かかりつけ歯科医であるなら、診療所での診療でまず患者ときちんと向き合った後、その延長線上として在宅訪問診療、摂食・嚥下リハビリテーションの必要性に遭遇することになるとし、地域医療のなかで歯科医療の責務を全うすることの重要性を示した。つづいて診療室で実施する摂食機能療法や口腔ケアの展開法について解説。最後にかかりつけ歯科医として在宅診療の目指すところは「看取りのための支援」であるとまとめられた。

 午後にはまず、阪口英夫氏(大生病院歯科口腔外科部長)が「高齢者歯科診療~認知症・口腔ケアを中心に~」と題して登壇。医療費の増加が進むなか、歯科医療費はこの10年間ほとんど変わっていないとし、高齢者に向けた歯科医療がほとんど用意されていない現実を指摘し、この失われた10年を是正していくことが不可欠とした。そのうえで、要介護の原因としての脳血管障害、認知症などについて解説した後、口腔ケアに関する具体的な対応法を示した。

 つづいて、柿木保明氏(九歯大副学長・附属病院長)が「口腔乾燥症~リスク因子と口腔機能との関連を中心に~」と題して登壇。口腔乾燥症は水を多く飲むと治癒するなど、さまざな誤解があるとしたうえで、口腔乾燥の原因として生活習慣や薬の影響をあげるとともに、その検査法・対応法について、舌苔を取りすぎてはいけない点なども含めわかりやすく解説した。

 明日からの診療に役立つセミナーだったとの声が、若手を中心に非常に多く聞かれた。