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2015年9月5日

8020推進財団、平成27年度歯科保健事業報告会・公募研究発表会を開催

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 さる9月5日(土)、歯科医師会館において、公益財団法人8020推進財団(山科 透理事長)による平成27年度歯科保健事業報告会・公募研究発表会が開催された。以下に6題の事業報告および公募研究発表の概要を示す。

【歯科保健活動事業】
1)「災害時の歯科保健医療事業「災害時の歯科保健医療を平時に活かすために」(佐藤 保氏、岩手県歯科医師会会長)
 佐藤氏は、災害時における歯科の役割が時間の経過とともに風化する傾向が懸念されるなか、本助成事業を実施したことで地域住民に認識させることができたとし、今後の課題としては、継続的に周知していくことを挙げた。

2)「大垣市メタボ歯科検診 平成20年から5年間の歯周病実態調査 不破郡糖尿病医科歯科連携事業と『歯周病と糖尿病』地域住民講演会」(片野雅文氏、岐阜県歯科医師会)
 片野氏は、不破郡糖尿病医科歯科連携事業と地域住民講演会の取り組みを紹介しながら、関係者の顔の見える関係が構築できたことで、この事業をモデルに県下各地域に展開していくと述べた。

3)「口腔機能増進のための歯科健康診査『歯周病予防のための新唾液検査事業~だ液でカンタン歯周病チェック!あなたの歯ぐきは大丈夫?~』」(西辻直之氏、東京都港区芝歯科医師会)
 西辻氏は、唾液を検体とした生化学検査による(歯周病のリスク判定に通常用いられるCPIに頼らない)歯周病検診事業を紹介し、一般住民への歯周病検診と歯周病予防の啓発を目的とする事業として、参加者の注目を集めた。

【公募研究課題】
4)「個人調査データを用いた、日英の高齢者の口腔の健康の比較研究」(相田 潤氏、東北大大学院歯学研究科准教授)
 相田氏は、地域や集団による健康状態の違いを表す「健康格差」について触れながら、日本とイギリスの歯科医療の比較を紹介。学歴が所得による口腔の健康格差の一要因であるとし、健康格差を解消するための予防や治療へのアクセスを増やす必要性を挙げた。

5)「口腔のケアが脳賦活に及ぼす影響に関する研究」(藤井 航氏、九歯大老年障害者歯科学分野准教授)
 藤井氏は、口腔ケアによって健常群および患者群ともに前頭前野の脳血流が増加する研究データを披露。口腔ケアが総合的な脳に対するリハビリテーションとしての役割を果たす可能性が示唆されたことで、継続的な研究の必要性を強調した。

6)「日本歯科医師会の標準的な成人歯科健診プログラムの『歯の健康力』と産業歯科保健活動受診者の口腔内状態との関連性についての調査研究~職域での効果的なオーラルヘルスプロモーション施策の提言を目指して~」(市橋 透氏、ライオン歯科衛生研究所主任研究員)
 市橋氏は、日本歯科医師会が作成した「標準的な成人歯科健診プログラム(生活歯援プログラム)」を用いた研究結果を披露しながら、異なる対象における再現性や質問項目の検証、行動変容に結びつける具体的な施策を今後の課題として挙げた。

 なお、きたる11月14日(土)、歯科医師会館において、第13回フォーラム8020が「健康寿命の延伸に寄与する歯科医療・口腔保健」をテーマに開催される。