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2016年8月26日

日本歯科審美学会第27回学術大会開催

「歯科審美 さらなる高みを目指して」をテーマに

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 さる8月26日(金)から28日(日)の3日間、京王プラザホテル札幌(北海道)において、日本歯科審美学会第27回学術大会(越智守生大会長、宮内修平理事長)が「歯科審美 さらなる高みを目指して」をテーマに開催され、およそ500名が参加する盛会となった。以下、主要な演題について概説する。

(1)海外講演「The Orthodontic Restorative Connection Considerations for Achieving Optimal Cosmetic Outcomes While Practicing Responsible Esthetics」(Dr. Salvatore Lotardo、米国ニューヨーク州開業)、「Challenge of a Koren dentist for esthetics」(Dr. Jooseob Shin、韓国全州市開業)
 日本歯科審美学会とパートナーシップを結ぶAACD(American Academy of Cosmetic Dentistry、米国審美歯科学会)とKAED(Korean Academy of Esthetic Dentistry、韓国歯科審美学会)から演者を招聘して行われた2題の海外講演。前者では審美歯科治療と矯正歯科の関連について詳説。矯正治療における7つの方法(extension, intrusion, tipping, root torque, translation, rotation, expansion)について示した上で、それを活用した症例が供覧された。また後者では、臼歯部のコンポジットレジン修復やそれにともなうMTAを用いた露髄への対応、またサブジンジバルカントゥアの形態調整による擬似的なバイオタイプの変換、そしてオベイトポンティックのための歯肉形成など、審美修復に関する話題がさまざまな角度から示された。

(2)シンポジウム2「義歯治療による歯科審美」(越野 寿座長、北海道医療大歯学部咬合再建補綴学分野)
 本シンポジウムでは、「総義歯装着者における審美」(阿部二郎氏、東京都開業)、「審美義歯(アンチエイジング義歯)とは」(天井久代氏、東京都開業)の2題が行われた。前者では、最近のマテリアルの進化やガイドラインの発展による審美歯科のレベルの向上を概観。その上で、「クラウン・ブリッジは(口腔内の)マイナーチェンジ、総義歯治療はメジャーチェンジ」と述べて歯肉と歯列を一挙に回復できる総義歯治療の審美的な利点について症例とともに言及。しかしながら、あくまでも正しい顎間関係や落ちたり外れたりしない「吸着」が達成されていることが大前提であり、審美はその先にあることも強調されていた。また後者では、審美義歯の定義、審美義歯の患者への勧めかた、前処置のポイント、印象のポイント、設計のポイント、咬合調整のポイントなど、アンチエイジングに資する審美義歯の製作法と患者への提供法がステップごとに詳説された。

(3)シンポジウム3「ホワイトニング up to date 口腔ケアに貢献する歯のホワイトニング治療」(大槻昌幸座長、医歯大大学院医歯学総合研究科口腔機能再構築学講座う蝕制御学分野/武井典子座長、公益財団法人ライオン歯科衛生研究所)
 本シンポジウムでは、「超高齢社会の歯科審美と認定士へのステップアップ」(武井氏)、「高齢者の審美歯科(Geresthetics)としてのホワイトニング」(福島正義氏、新潟大大学院医歯学総合研究科口腔生命福祉学講座口腔保健学分野)、「ホワイトニングを含めた新しい口腔管理方法(SOHP)の紹介」(酒井麻里氏、昭和大歯科病院)、「ホワイトニングが歯質に与える影響」(伊藤修一氏、北海道医療大歯学部口腔機能修復再建学系 う蝕制御治療学分野)、「ホワイトニング治療、信頼を得るルール」(住友雅人氏、日本歯科医学会会長)、「歯科審美から予防歯科へ ―歯のホワイトニング治療と自費のクリーニング―」(坂本佳昭氏、株式会社エイ・アイ・シー代表取締役)、「ホワイトニングコーディネーター制度と更新の要件」(椿 知之氏、東京都開業)の7題が行われた。社会情勢とホワイトニングの関係、ホワイトニングを通じた予防歯科への展開、そしてホワイトニングのメカニズムに関する考察など、現代のホワイトニングをめぐる諸事情を包括的に知ることのできる105分間のシンポジウムであった。

 この他、会場では各種シンポジウム、教育講演、ポスター発表、市民公開講座および懇親会などが開催され、いずれも盛況となっていた。なお来年度の学術大会は、きたる2017年9月17日(日)に、愛知学院大学を主管校に富山県で開催されるとのこと(第10回国際歯科審美学会世界大会〔同年9月14日(木)~16日(土)〕と併催)。