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2016年9月10日

日本歯科技工学会第38回学術大会開催

「デジタル歯科技工の真髄-The Essence of Digital Technology-」をテーマに

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 さる9月10日(土)、11日(日)の両日、奈良春日野国際フォーラム甍(奈良県)において、「日本歯科技工学会第38回学術大会」(末瀬一彦大会長、山鹿洋一会長)が「デジタル歯科技工の真髄―The Essence of Digital Technology―」を大会テーマに開催された。第38回目を数える今大会では、基調講演・特別講演・教育講演・教育セミナー・企画シンポジウム・共催セミナーをはじめ、テーブルクリニック10題、デモンストレーション4題、そして多数のポスター発表や企業展示、さらにテクニカルコンテストが行われるなど盛況となり、1,165名の参加者でにぎわった。

 1日目は、基調講演として大会長の末瀬氏(大歯大歯科審美学室教授)による「デジタル歯科技工の現状と展望」、教育講演として伴 清治氏(愛院大歯学部歯科理工学講座)が登壇したほか、「臨床現場におけるデジタル歯科技工の活用・実践」と題された企画シンポジウムには木村健二氏(協和デンタル・ラボラトリー)、樋口鎮央氏(和田精密歯研)、十河厚志氏(デンタル・デジタル・オペレーション)の3名が、さらに「デジタル歯科技工の可能性」と題された若手シンポジウムには木原琢也氏(広大大学院医歯薬保健学研究院口腔生物工学分野)、上條真吾氏(医歯大大学院医歯薬保健学研究院口腔基礎工学分野)、瓜生博伺氏(データ・デザイン)の3名が登壇した。また、それらと並行して認定士・専門士講習会と6題のテーブルクリニックが行われた。この中で末瀬氏は、CTやCAD/CAMなど、近年急速に歯科臨床に取り入れられるようになってきたデジタル関連のさまざまなトピックスを整理したうえで、口腔内スキャナーなど、今後より浸透していくデジタル関連技術に対する私見を述べた。

 また2日目は、特別講演として橋爪 誠氏(九大大学院医学研究院先端医療医学講座教授)が「デジタル医療の真髄」と題した講演を行ったほか、「デジタル歯学教育の現状」と題された教育セミナーには宮崎 隆氏(昭和大歯学部歯科保存学講座歯科理工学部門教授)、大木明子氏(医歯大大学院医歯薬保健学研究院口腔基礎工学分野准教授)、中野田紳一氏(インサイドフィールド)の3名が、さらに日本口腔インプラント学会および日本デジタル歯科学会との共催シンポジウムとして「インプラント治療におけるチーム医療―診査・診断から上部構造製作まで―」が行われ、清水谷公成氏(大歯大歯科放射線学講座教授)、佐藤琢也氏(大阪府開業)、寺尾登喜雄氏(神戸デンタルアートスタジオ)が登壇した。特別講演を行った橋爪氏は、医科の分野の最新テクノロジーである手術支援ロボットシステムについて、そのメリットや現状、そして日本における同システムの開発について解説した。また、共催シンポジウムに登壇した3名の演者は、インプラント埋入手術に用いるサージカルガイドについて、それぞれの立場から講演を行った。

 今大会のテーマは「デジタル歯科技工の真髄―The Essence of Digital Technology―」ということであった。その中で臨床における材料や機械などのトピックスにとどまらず、学生に対するデジタル教育や医科分野の最新テクノロジーの紹介など、デジタルというキーワードを幅広く捉えたバリエーション豊かな講演内容が印象的だった。今後、ますます歯科医療におけるデジタル化は進むと思われるが、本会の受講者はその中でどのように立ち回っていくのかを改めて考える機会になったのではないだろうか。