2017年1月29日掲載

健康寿命延伸において歯科衛生士に求められることを考える会に

第26回ライオン健康セミナー開催

第26回ライオン健康セミナー開催
 さる1月29日(日)、よみうり大手町ホール(東京都)において、第26回ライオン健康セミナー(公益財団法人ライオン歯科衛生研究所主催、公益社団法人日本歯科医師会・公益社団法人日本歯科衛生士会後援)が「健康寿命の延伸に向けた歯科医療をめざして―歯科衛生士に期待される役割―」をテーマに開催され、歯科衛生士を中心に420名が参集した。

 はじめに藤重貞慶氏(ライオン歯科衛生研究所理事長)による挨拶の後、座長である眞木吉信氏(同研究所東京デンタルクリニック院長、東歯大教授)の進行のもと、4名の講演が行われた。

 まず、新開省二氏(東京都健康長寿医療センター研究所副所長)が「これだ! 健康長寿の食生活」の題で登壇。高齢者における低栄養は脳卒中や心疾患など循環器病のリスクが高くなるほか、認知機能が低下しやすく、健康余命に関わると言及。低栄養を避けるためには、高齢者が健康なうちから正しい食事、口から食べることの大切さについて理解を促し、咀嚼嚥下機能の維持、改善を図ることが重要であるとした。

 続いて、長谷川嘉昭氏(東京都開業)が「~歯周基本治療を再考する~ 歯周治療と共に29年間の臨床から見えてきたこと」と題し、歯周治療の成功裏にはチーム力、分析力があると述べた。歯科衛生士は、患者の思いや病態、リスク、性格を分析したうえで戦略をたて、歯科医師と共有することが「戦略的な歯周基本治療」を行ううえで重要だとした。また、どんな人が、いつ、どのようなゴールにむけて、どのような処置をするのかを「仮想診断」し、患者を診る眼を養ってほしいと歯科衛生士へエールを贈った。

 次に、藤本篤士氏(医療法人渓人会 札幌西丸山病院歯科診療部長)が登壇。「口から食べる幸せを守るための予防的アプローチ」と題し、咀嚼のみならず、嚥下ができない高齢者が増えていると問題提起。嚥下不良は誤嚥につながることも多く、体力低下や誤嚥性肺炎、そして最悪、窒息のリスクも増大することから「健康な筋肉でしっかり噛んで飲む」ことが重要だと述べた。口腔の保清と機能維持こそが健康長寿の源だとし、歯科衛生士は口腔の小さな変化を見逃さず、全身状態を予測することが今後求められると説いた。

 その後、小山珠美氏(NPO法人 口から食べる幸せを守る会理事長)が「口から食べる幸せを守るための包括的アプローチ」と題し、登壇。早期経口摂取は退院時の経口摂取率が高くなるほか、在院日数の短縮にもつながると示したうえで、それには「食べることを想定したケア」が重要だとし、歯科の早期介入の必要性を明示した。最後に氏は、安全で豊かな食生活が維持、再獲得できるマネジメントのためには患者を多職種で包括的に診ていかなければならないと結んだ。

 なお、本会は同内容にてきたる4月23日(日)、大阪国際会議場でも開催予定。

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