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2018年2月18日

第18回DHサミット開催

村上伸也氏が歯周病と再生療法に関する明快な講演で参加者を魅了

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 さる2月18日(日)、一橋大学一橋講堂(東京都)において、第18回DHサミット(小林明子代表)が開催され、約80名の歯科衛生士、歯科医師が参集した。今回は、村上伸也氏(阪大大学院歯学研究科口腔分子免疫制御学講座教授)が招聘され、「歯周病と再生治療を再考しよう ―歯科治療を支える歯科衛生士の皆さんへの応援メッセージに変えて―」の題で終日にわたって講演が行われた。

 歯周病はプラークが原因となって発症・進行する感染症であるため、原因除去を目的としたSRPを適切に行うことで、それをコントロールできると考えられる。しかし、実際の臨床では、それだけではうまくコントロールできないケースもしばしばみられる。そこで午前の部では、プラークによる為害作用をはじめ、リスク因子との関連などについて取り上げられ、歯周病の病態をあらためて見直す機会となった。

 午後の部ではまず、糖尿病をはじめとする全身疾患との関連についてまとめられた論文を村上氏が複数提示。その際、関連があるということと因果関係があるということは別物であるなど、情報を適切に捉えるよう強調した。次に、歯周病を診るうえでは、炎症反応だけでなく、治癒にかかわる生体応答を理解する必要があるということで、歯周組織の再生について解説した。氏が四半世紀に及んで携わってきた、世界初の歯周組織再生剤「リグロス®」の開発経緯や薬理作用などについても触れたうえで、「再生療法を含めた歯周治療の効果を維持させ、長期的に歯周組織を守っていくためには、歯科衛生士による定期的なメインテナンスやプラークコントロールが必須である」と熱いエールを送った。

 特に歯科衛生士にとっては難しく感じられることがある再生療法もテーマではあったが、終始軽快な口調で、時にわかりやすいたとえやジョークを交えながらユーモアたっぷりに話す村上氏の講演に、多くの参加者が魅了されていた。また、講演の合間には、参加者から寄せられたさまざまな質問にも氏がていねいに回答するなど、終日盛り上がりを見せた。