2018年9月16日掲載
「日常と非日常」をテーマに
「九州臨床歯科の会 KDM若手会 MMID 2018 Joint Meeting in Miyazaki」開催

・「マイクロスコープを用いたチームアプローチ」(樋口敬洋氏、福岡県開業/森田佳子氏/米 可那氏〔歯科衛生士、樋口歯科医院〕/深江あゆ氏〔歯科助手、樋口歯科医院〕)
当初は歯科医師自身が使用するために1台のみ導入したマイクロスコープが、治療はもちろんスタッフ間の情報共有や患者説明にとっても非常に有用であることに気づき、現在ではすべてのユニットに導入して最大限に活用していることについて歯科医師、歯科衛生士、さらに歯科助手の立場から多角的に示した。また、録画した動画の管理ソフトウェア「MicroRecorder」(メディア)の活用法についても示した。
・「ARTによるう蝕管理の一症例」(澤幡佳孝氏、熊本県開業)
ART(Atraumatic Restorative Treatment、非侵襲的歯科治療)を実践している澤幡氏が、その術式と症例についてう蝕活動性の高い小児患者の症例を基に解説。ARTは隣接面を含む症例でも3年間程度有効であるが、その間にも部分的なチッピングがみられること、またう蝕多発傾向や多動のみられる小児にとくに有効であることを示した。
・「歯牙移植・再植における成功の鍵を考える ~移植後短期経過症例からの考察~」(小野恒佑氏、熊本県開業)
本演題では、小野氏が開業から3年間の間に行った19例の歯牙移植について考察。とくに経過に不安のある症例に焦点を当て、早期に失敗する可能性のある症例では付着の獲得が不良であり、その兆候は移植後早期から現れるとした。また、移植後の辺縁封鎖の重要性についても症例を基に示した。
・「診断における歯科技工士の役割(模型診断の重要性)」(松本誠一氏、ハートセラミック)
本演題では、技工歴32年を迎える松本氏が、歯科医師の診断の助けとなる模型診断のステップについて詳説。模型診断を「理想的な咬合治療のための模型診断」「限られた範囲の治療のための模型診断」そして「可能性を探るための模型診断」の3種類に大別し、それぞれについて症例を提示した。
・「SAVE THE TEETH!」(土田晃太郎氏、宮崎県開業)
本演題では、標題どおり歯牙の保存について解説。抜歯の基準、根管治療の成功率および成否に影響する因子、低侵襲なフラップデザインによる歯周外科処置などについて示したうえで、抜歯前にもう一度科学的に根拠のある治療法を検討して保存の可能性を探ること、またインプラントの慎重な応用などについて訴えた。
・「ユーロペリオ9とエビデンスから学ぶ歯周病の日常と非日常」(星 嵩氏)
本演題では、本年6月にアムステルダム(オランダ)で行われた「ユーロペリオ9」(ヨーロッパ歯周病学会)で発表された歯周病ガイドラインの見直しについて報告。歯周病のステージとグレードによる新たな分類法、“Biologic Width”から“Supercrestal Tissue Attachment”への呼称変更、“Biotype”から“Phenotype”への呼称変更、また、ユーロペリオの会場で展示された新製品などについて紹介した。さらに、歯周病に関する最近のトピックについても多数提示し、次世代シーケンサーを用いた遺伝子探索の展望、Cortellini Pによる低侵襲外科処置の種類、そして星氏自身が歯周外科処置を行う際に心がけている手技のポイントなどについて示した。