Quint Dental Gate 歯科のコミュニケーションサイト

文字サイズ
標準
特大

トピックス


2019年10月4日

日本デジタル歯科学会第10回学術大会、第5回国際デジタル歯科学会同時開催

世界各国から約650名の参加者を集め盛会となる

ログインされますと、関連書籍が表示されます。
会員でない方はこちら
(※関連書籍がないトピックスは表示されません)

 さる10月4日(金)から6日(日)の3日間、奈良春日野国際フォーラム 甍(奈良県)において、日本デジタル歯科学会第10回学術大会(末瀬一彦理事長・大会長、以下、JADD)および、第5回国際デジタル歯科学会(Wael Att会長、以下、IADDM)が同時に開催され、世界各国から約650名の参加者を集める盛会となった。JADDにとっては第10回の節目であり、またIADDMにとっては初の日本国内での学術大会ということで、開催前から注目を集めてきた。
 
 IADDMではまず、大会長講演としてWael Att氏(米国、タフツ大)が登壇。「Disruptive Technologies In Dentofacial Rehabilitation」と題し、インプラント治療における顔貌および口腔内のサーフェスデータとCTデータの合成、スキャンポストを連結しての口腔内光学印象の注意点、また無歯顎症例をバーチャル咬合器にマウントする際のテクニック「Bite Fusion Technic」などについて示した。また、全体的にはクラウン・ブリッジおよびインプラント領域の話題が多く、結語としてAI(Artificial Intelligence、人工知能)への期待を述べる演者が多かったことが印象的であった。なかでも、Her Soo-Bok氏(Korean Academy of Digital Dentistry〔KADD〕)は「Digital dentistry and A.I.」と題し、セファロ分析の自動化や、パノラマX線写真における病巣やう蝕の自動検出の可能性について示していた。

 また日本人演者としては、伴 清治氏(愛院大歯学部歯科理工学講座)が「3D-printing of dental prostheses made of ceramics」と題し、山下恒彦氏(歯科技工士、デンテックインターナショナル)が「Digital Zirconia Implant Restoration: Truth vs. Myth」と題し、船登彰芳氏(石川県開業)が「The assimilation of digital and analog technology in Implant dentistry」と題し、草間幸夫氏が「Digital solution expanding from IOS」と題し、土屋賢司氏(ともに東京都開業)が「The Harmony with Esthetic and Biology in Restorative Treatment」と題し、そして林 直樹氏(歯科技工士、Ultimate Styles Dental Laboratory)が「The Link -Dentist_Technician_Patient-」と題しそれぞれ登壇した。

 併催されたJADDでは、まず末瀬氏による大会長講演「(一社)日本デジタル歯科学会の『温故知新』─ 10 年を振り返って、さらに 10 年に向かって─」が行われ、2010年に設立されたJADDが「日本歯科CAD/CAM学会」から「日本デジタル歯科学会」に改称された経緯と現在までの歩み、および日本歯科医学会専門分科会への加盟やデジタル歯科普及・促進のためのセミナーの開催、デジタル歯科専門医・専門士制度の設立といった今後の目標について示した。その後は臨床セミナーが12題、シンポジウムが2題、ランチョンセミナーが5題、そして多数のポスター発表が行われ、それぞれ盛況となっていた。

 なお、今回のJADDでは、口腔内スキャンの速さと正確さを競う「口腔内スキャナーコンペティション」、また、歯科関係者からCAD/CAM装置を用いて創意と工夫を凝らし製作された作品を公募した「CAD/CAM 技工作品コンペティション展示」も行われ、注目を集めた。前者は口腔内スキャナーの種類別に4部門に分かれ、CEREC Omnicam部門では川西範繁氏(神歯大大学院歯学研究科口腔統合医療学講座)が、3Shape TRIOS3部門では伊藤光彦氏(鶴見大歯学部附属病院クラウンブリッジ補綴学講座)と三好敬太氏(昭和大歯学部歯科補綴学講座)が、3M True definition scanner部門では岩内洋太郎氏(昭和大歯学部歯科補綴学講座)が、そしてトロフィー3DIプロα部門では山田陽子氏(東京都開業)がそれぞれ最優秀賞を受賞した。そして後者では、最優秀賞が瓜生博伺氏(歯科技工士、データ・デザイン、作品名:Mr. Digital Dentistry)、優秀賞が樋口鎮央氏(歯科技工士、大歯大医療保健学部口腔工学科、作品名:再生)と三浦和也氏(歯科技工士、スワデンタル、作品名:Fake Skull)、理事長賞が黒岩良介氏(歯科技工士、YAMAKIN先端デジタル技術研究所、作品名:デジタル技術と匠の業で咲かせるスズランの花)、佳作が石田政子氏(歯科技工士、デンタルタイコニウム、作品名:細部まで再現)と杉山雅一氏(歯科技工士、アートセラミック、作品名:3D立体パズルと幻想的な世界)および中村修吾氏(歯科技工士、NOVA DENTAL LABORATORY、作品名:肝臓3色3Dプリント)にそれぞれ贈られた。

 次回のJADD第11回学術大会は、きたる2020年4月25日(土)~26日(日)の両日、愛知学院大学歯学部(愛知県)において開催予定とのこと。