Quint Dental Gate 歯科のコミュニケーションサイト

文字サイズ
標準
特大

トピックス


2019年10月25日

第64回(公社)日本口腔外科学会総会・学術大会が開催

「未来につなげる口腔外科医療 -Succession from the Past, Leading to the Future-」をテーマに

ログインされますと、関連書籍が表示されます。
会員でない方はこちら
(※関連書籍がないトピックスは表示されません)

 さる10月25日(金)から27日(日)の3日間、札幌コンベンションセンター(北海道)において、第64回公益社団法人日本口腔外科学会総会・学術大会(高橋 哲大会長、鄭 漢忠理事長)が、特別講演2題、教育講演1題、招聘講演1題、海外招聘講演2題、国際シンポジウム8題、他学会との合同シンポジウム5題、シンポジウム4題、公募ワークショップ2題、ミニレクチャー32題、ビデオレクチャー11題、その他一般口演、ポスター発表など、多様なプログラムにて盛大に開催された。

 「シンポジウム MRONJ/BRONJ」では、まず森川貴迪氏(東歯大助教)が「ARONJの治療 -BRONJとDRONJの差異について-」と題して、自診療科の症例での分析をもとに、BRONJよりDRONJのほうが、初診時のステージがやや高い傾向にある、寛解率が有意に高いなどの違いを紹介。さらなる症例の蓄積により作用機序の解明をしたいとの意向を語った。

 続いて田口 明氏(松本歯科大教授)が「顎骨壊死の画像診断 -単純エックス線写真での予兆所見」と題し、高用量BP製剤投与患者では歯根膜腔の拡大や基底骨部の硬化から骨壊死の予兆として注意を要する可能性を指摘し、現行のポジションペーパーにおける単純X線写真所見の改訂が必要ではとの見解を述べた。

 最後に岸本裕充氏(兵庫医科大教授)が「BRONJ予防のための安全な抜歯」と題し、休薬による待機期間の延長は感染源を残すことによるデメリットのほうが多いとの考えから、休薬なし、直前の抗菌薬の予防投与、不良肉芽の十分な掻爬、積極的な完全閉創は目指さないなど、自診療科における治療の原則を紹介した。

 日本有病者歯科医療学会との「合同シンポジウム 抗血栓療法と抜歯(小手術)UP-TO-DATE -ガイドライン改訂に向けて-」では、まず医科の専門家の立場から、川杉和夫氏(帝京大教授)が「抗凝固療法のup to date(相手を知れば観血的処置も怖くない)」の演題で、続いて長尾毅彦氏(日本医科大准教授)が「口腔外科医のための抗血小板療法 最近の知見」と題して登壇。通常、抜歯時の抗凝固薬や抗血小板薬の休薬は必要ないものの、併用によるリスクが増えることなど注意点を解説し、薬の特性に応じて対応することの重要性を強調した。

 歯科からは、矢郷 香氏(国際医療福祉大准教授)が「抗血栓療法患者における口腔外科小手術時の対応」として多数の症例を交えて実際の対応を紹介するとともに、合併症を起こさないために医師との連携の必要性を訴えた。

 佐藤一道氏(東歯大准教授)は、システマティックレビューチームの立場から2020年の「抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン」改訂作業について説明。そのなかで、普通抜歯可能とされているワルファリン内服患者でのPT-INR3.0以下の場合でも、ある程度の頻度で出血がみられ注意を要するとの調査報告を示した。

 8題の国際シンポジウムが組まれるなど、国際色豊かな企画が盛り込まれるなか、約4,600名の多数の参加者が集い、活気に満ちあふれた3日間であった。次回大会は、きたる2020年11月13日(金)から15日(日)の3日間、名古屋国際会議場(愛知県)において開催予定である。