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2020年11月15日

日本歯科技工学会、2020年度専門歯科技工士講習会を開催

末瀬一彦氏、下江宰司氏らが登壇

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 さる11月15日(日)、日本歯科技工学会(末瀬一彦会長)による2020年度専門歯科技工士講習会がウェビナーにて開催された。本講習会は、本来であれば11月14日(土)、15日(日)に開催される予定だった日本歯科技工学会第42回学術大会(二川浩樹大会長)のプログラムの一環だったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で同学術大会が中止となり、ウェビナーとして開催されることとなった。

 最初に二川浩樹氏(広島大教授)から、本講習会以外の日本歯科技工学会第42回学術大会で予定されていたプログラムが学会誌での誌上開催となることが発表された。

 1人目の演者である末瀬一彦氏(大歯大客員教授)は「(一社)日本歯科技工学会と専門歯科技工士制度の今後のあり方について」という演題でレクチャーを行った。末瀬氏は日本歯科技工学会の会員数が年々減少傾向にあることを報告したうえで会員数の増強が必要と述べ、歯科技工士学会ではなく、歯科技工学会であることから、歯科技工士だけではなく補綴関連の歯科医師や歯科衛生士にも会員になってもらうよう働きかけたいと述べた。その後は日本歯科技工学会の役員および各委員会のメンバーと活動指針を説明し、今後の施策として8つの策について解説した。また、現在73名が認定されている専門歯科技工士制度についても言及し、他学会とも協調して日本歯科技工学会の専門歯科技工士の認定を受けた上で、各専門学会の認定を受けるような流れを作りたいと述べた。最後に、専門歯科技工士制度の目標は、患者に対して安定的に高品質・高精度な補綴装置を提供することであるとまとめた。

 2人目の演者である下江宰司氏(広島大大学院)は「失敗の少ないチタン製補綴装置の設計、製作から納品まで」という演題でレクチャーを行った。下江氏はまず、医療機器と医療技術が保険収載されるまでの流れを説明した。その中で下江氏は、これまで保険で使用されていたニッケルクロム合金が安全性の問題から外され、より安全なチタンが選ばれたという背景を語った。その後、チタン鋳造冠の製作上の注意点について解説を行った。チタンの加工には専用の材料と機器が必要であること、またチタンの特徴は利点にもなるが、その特徴のおかげで製作難易度も高くなると述べた。

 最後に下江氏は、補綴装置を安売りしていると、国の実態調査の結果、その安売りした価格が適正と判断され、それを基準に点数が下げられてしまう可能性があると述べた。そして、安売りは患者のためにはならず、歯科技工は医療行為であるのだから、価格ではなく品質で勝負していただきたいと歯科技工士にエールを送った。

 2020年度専門歯科技工士講習会は本年度中にもう一度ウェビナーでの開催が予定されているとのこと。また、来年の日本歯科技工学会第43回学術大会は札幌、再来年の日本歯科技工学会第44回学術大会は東京で国際学会を開催する予定とのことである。