Quint Dental Gate 歯科のコミュニケーションサイト

文字サイズ
標準
特大

トピックス


2021年4月24日

日本顕微鏡歯科学会、第17回学術大会を開催

「顕微鏡のネクストステージ」をテーマに

ログインされますと、関連書籍が表示されます。
会員でない方はこちら
(※関連書籍がないトピックスは表示されません)

 さる4月24日(土)、25日(日)の両日、日本顕微鏡歯科学会第17回学術大会(和田尚久大会長、北村和夫会長)が「顕微鏡のネクストステージ」をテーマに、オンライン配信において開催され、約900名が参加し盛況となった。昨年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で延期となった本会は、2年ぶり開催となった。

 1日目には、和田大会長(九大病院口腔総合診療科教授)と北村会長(日歯大附属病院総合診療科教授)の挨拶の後、尾崎弘明氏(福岡大医学部眼科学教室診療教授)による特別講演「医科における顕微鏡手術の黎明と進化―MIS (Micro Invasive Surgery) 時代への提言―」が行われた。尾崎氏は顕微鏡手術のメリットとして、(1)拡大することにより詳細な組織観察が可能、(2)治療レベルの進歩、(3)インフォームドコンセントの向上、(4)すべてを記録できる(医療訴訟対策)などを挙げ、費用面などのデメリットはあるものの「今まで見えなかった組織が見える喜び、できなかった治療ができる満足感・充足感がある」と述べ、ひいては患者への高い医療レベルの供給へつながるとした。

 2日目には3つのシンポジウムが行われ、顕微鏡を臨床でどのように活用しているのか、また根管治療から修復・補綴までの最新治療方法などが披露された。そのなかでシンポジウム1の長尾大輔氏(茨城県開業)による講演「切らないで拡げてみようポケットを!」では、中等度以上の歯周病に罹患した歯に対し、顕微鏡下において歯周ポケットを押し広げ最小限の術野を形成し、高精度なデブライドメントを行うミニマムな術式を紹介。歯周ポケット内組織の解剖学的図説を示しつつ、本術式における歯の保存率が97.05%(智歯を含む)となったことや、従来の歯肉剥離掻爬術よりも鎮痛薬の服用が少なくなり、患者の負担が大幅に減るなどを強調した。

 歯科衛生士シンポジウムでは、歯周治療やメインテナンスなど、臨床における実践的なアドバンスな内容が紹介され、顕微鏡を使用する歯科衛生士の増加とスキルの高度化が感じられる内容であった。

その他、2日間にわたり一般講演16題、AMED(Academy of Microscope Enhanced Dentistry)会員講演、大会長賞受賞講演、企業セミナー、バーチャルブースの企業展示など多彩なプログラムが展開された。

 本学術大会の振り返り視聴はこちらより、期間は2021年4 月29 日(木)から5 月9 日(日)となっている。また、次回の第18回学術大会は、きたる2022年4月22日(金)から24日(日)の3日間、一橋講堂(東京都)において小林 平氏(日大松戸歯学部)を大会長として開催予定である。