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2021年5月21日

日本歯科放射線学会、第61回学術大会・第17回定例総会を開催

「もっと知りたい、歯科放射線」をテーマに

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 さる5月21日(金)から23日(日)の3日間、日本歯科放射線学会 第61回学術大会・第17回定例総会(倉林 享大会長、浅海淳一理事長)がオンラインにて開催され、292名が参集した。本学会は教育講演3題、学会賞受賞講演1題、花村信之メモリアルレクチャー1題、一般口演発表、そしてポスター発表が催された。なお、ポスター発表については、2021年6月3日(木)までのオンデマンドにて閲覧可能となっている。

 勝良剛詞氏(新潟大)による教育講演1は、「頭頸部放射線治療における口腔有害事象の基礎と対応」と題して行われた。多くの機能を有する頭頸部への放射線治療について、有害事象に関する基礎的事項や評価項目、口腔粘膜炎や口腔乾燥症、放射線性う蝕、骨壊死といった代表的口腔有害事象の機序と対応が示された。本講演ではそれに加え、人材の育成・教育の重要性についても述べられた。

 加藤博基氏(岐阜大)による教育講演2は、「鼻副鼻腔領域の画像診断」と題してして行われた。解剖が複雑で苦手としている医師・歯科医師の多いものの、正常偏位の種類・頻度が多く、難度の高い鼻副鼻腔領域の画像診断について、特に危険となる部位、そして頻度の高い疾患や画像所見が特徴的な疾患について解説がなされた。前述のように難度の高い画像診断である場合もあるが、病理学的特徴を理解することで、画像による鑑別が可能であるとまとめられた。

 植田真一郎氏(琉球大)による教育講演3は、「研究倫理における被験者保護とサイエンス 〜ジェンナーから COVID -19 まで〜」と題して行われた。臨床研究の目的は「Practice をより良いものに変えること 」であり、そのために被験者を守り、その結果が適応されるかもしれない将来の患者を守ることが必須であるとしたうえで、原則臨床研究について、ジェンナーの時代から研究倫理の変遷を述べ、現代の研究倫理を考えるうえで必要な視点についてまとめた。
 
 荒木和之氏(昭和大)による花村信之メモリアルレクチャーは、「誰でもできる画像診断を目指して」と題して行われた。前半ではAIによる画像診断について、後半では三次元画像診断についての解説が行われた。前半ではAI、ニューラルネットワーク、深層学習について概説を述べたうえで、歯科画像診断について、AI(ニューラルネットワーク)を応用した例を示した。特にう蝕の画像診断については、象牙質に及ぶう蝕のみをう蝕として診断する場合、AIの活用により有意に診断率は上昇するが、微小なう蝕の検出は困難で、さらなる研究が必要であるとした。

 学会賞は優秀賞を川島雄介氏(鹿児島大)が受賞し、川島氏による受賞講演が行われた。

 コロナ禍における開催で、当初の予定を変更したオンラインでの開催となったが、各講演には質疑が絶えず、熱気に包まれたまま閉幕した。

 なお、きたる2021年10月29日(金)から31日(日)の3日間、昭和大学上條記念館(東京都)において、日本歯科放射線学会 第2回秋季学術大会が開催予定となっている。