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2021年5月30日

(公社)日本口腔インプラント学会関東・甲信越支部、第11回学術シンポジウムをWeb配信にて開催

「今だからこそベーシック」をメインテーマに

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 さる5月30日(日)、公益社団法人日本口腔インプラント学会 関東・甲信越支部 第11回学術シンポジウム(小倉 晋大会長、宮崎 隆理事長)が「今だからこそベーシック」のテーマのもとWeb配信にて開催された。本シンポジウムは積極的に若手シンポジストを登壇させることで有名で、注目度の高いテーマを扱うこともあり、近年好評を博している。第11回となる今回は、学術大会や支部学術大会における学術賞受賞者の講演を視聴したいという意見を受け、いずれもすぐれた臨床テーマで学術賞を受賞した6演題が選ばれた。これに加え、昼休憩を挟む形で2題の特別講演が企画された。

 まず、開会式にて小倉 晋氏(日歯大附属病院)、続いて簗瀬武史氏(関東・甲信越支部長、埼玉県開業)、宮崎 隆氏(昭和大)がそれぞれ挨拶を述べた。その後の午前中のセクション1では、まず川谷孝士氏(日歯大新潟病院)が、ラテラルアプローチによる上顎洞底挙上術後の骨補填材の経時的変化を、CT値を基にさまざまな組織を3D化できる医療用画像三次元ソフトウェアを用いて測定した結果について考察した。次に、古川丈博氏(東歯大)が低侵襲なインプラント治療が可能となるショートインプラントに関して、日本人の顎骨を対象とした臨床実績を基にした応用方法について論じた。そして上杉崇史氏(昭和大)は、ガイデッドサージェリーを用いた意図的傾斜埋入の有用性と成功させるためのポイントを豊富な臨床例を交えて披露した。続く特別講演ではそれぞれ「インプラント治療における解剖学」、「COVID-19に対する歯科の取り組み」のタイトルで阿部伸一氏(東歯大)と小林隆太郎氏(日歯大附属病院)が講演した。

 午後のセクション2では、柴垣博一氏(神奈川県開業)がインプラントの初期安定性を知るツールであるISQ(Implant Stability Quotient)と埋入トルク値の相関について言及した。次の上原容子氏(医歯大)は1本のインプラントで指示されるインプラントオーバーデンチャー(1-IOD)が患者満足度と口腔関連QOLを優位に向上させた研究に関して講演した。最後の演者である大原誠司氏(医歯大)はインプラントの補綴的・機械的合併症の中でも厄介な「インプラント破折」に関して論じ、そのリスクファクターを詳らかにした。

 今回のシンポジウムは約220名が視聴し、ベーシックをテーマに掲げながらも、臨床に直結する情報が広くシェアされた。オンラインにて随時質問が募集され、各セクション後のディスカッションでは視聴者からの疑問に回答する形で議論が展開され、オフライン開催と変わらぬ活況を呈していた。