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2021年7月14日

東京矯正歯科学会、第80回記念学術大会を開催

北里大学特別栄誉教授の大村 智氏らが登壇

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 さる7月14日(水)、有楽町朝日ホール(東京都)において、第80回東京矯正歯科学会学術大会及び総会(新井一仁会長)が参加人数を制限して行われた。また特別講演と一般口演については、7月15日(木)~22日(木)までオンデマンド配信されている。症例展示ならびに企業展示は見送られることとなり、新型コロナウイルス感染症流行下での学術大会実施の難しさがうかがえた。

 講演は、一般口演11題、東京矯正歯科学会 9th IOC(第9回国際矯正歯科会議世界大会)優秀発表賞3題、そして特別講演1題で構成されている。

 そのうち東京矯正歯科学会 9th IOC(第9回国際矯正歯科会議世界大会)最優秀発表賞を受賞した吉澤英之氏(医歯大大学院医歯学総合研究科顎顔面矯正学分野)による「Reciprocal cortical activation patterns during molar and incisal biting correlated with bite force levels: an fMRI study(臼歯および前歯咬合時における咀嚼筋活動と相関する脳賦活パターンの差異:機能的磁気共鳴画像法を用いた検討)」では、ヒトが手を握るときの2通りの握り方「power grip(つかむ)」「precision grip(つまむ)」からヒントを得て、臼歯部における咀嚼と前歯部における咀嚼について、脳の賦活領域が異なるという仮説を裏付けるための実験について解説された。実験の結果、臼歯咬合時はpower grip同様に力強い力のコントロールが、前歯咬合時はprecision grip同様に繊細な力のコントロールが脳の領域で行われている可能性があり、咀嚼機能低下が脳の運動機能に与える影響を解明する一助となり得るとされた。

 また大村 智氏(北里大特別栄誉教授)による特別講演「古くて新しいイベルメクチン物語」では、自身の研究によって開発され、オンコセルカ症、リンパ系フィラリア症、糞線虫症、疥癬の特効薬として世界の人畜の健康と衛生に大きく寄与した抗寄生虫薬「イベルメクチン(Ivermectin)」のこれまでの経緯を講じた。また同薬の抗がん活性、抗ウイルス活性についても新たな複数の知見が存在することを紹介した。

 閉会の辞にて高橋滋樹副会長は、「マスクの着用常態化によって矯正歯科治療を希望する患者が増加しているとの報道があると聞く。われわれはこうした状況を受け、より矯正歯科治療の正しい情報を伝え、質の高い矯正治療を提供する努力を怠らないようにしなければならない」と締めくくった。