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2021年9月4日

日本アンチエイジング歯科学会、第15回学術大会を開催

「GOLDEN AGING AND MORE」をテーマに

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 さる9月4日(土)、5日(日)の両日、セルリアンタワー東急ホテル(東京都)において、日本アンチエイジング歯科学会 第15回学術大会(志田佐和子大会長、松尾 通会長)が開催された。参加登録者数は630名を数え、現地には150名余りの歯科関係者が参集した。
 
 本大会のテーマは「GOLDEN AGING AND MORE」。患者のウェルエイジングのために歯科から何ができるかを考えるべく、健康寿命の延伸やオーラルフレイルの予防、患者への医療面接のノウハウ、質の高い睡眠のコツについてなど、バラエティ豊かな講演が行われた。

 1日目は、志田大会長と松尾会長(ともに東京都開業)の挨拶により開幕。オーラルフレイルの理解を深める講演がメインとなった。おもな講演は以下のとおり。

・「健康寿命の延伸こそ究極のアンチエイジング!」(飯沼利光氏、日大歯学部教授)
・「超高齢社会における『オーラルフレイルと咬合』―理解したい高齢者における機能的変化―」(阿部伸一氏、東歯大教授)
・「人生100年時代の歯科医療・口腔保健のQuo Vadis」(神原正樹氏、大歯大名誉教授)
・「国家戦略としての『フレイル予防・オーラルフレイル予防』」(飯島勝矢氏、東大高齢社会総合研究機構教授)
・「中高年までに習得すべき睡眠習慣」(遠藤拓郎氏、慶應義塾大特任教授)
・「50年経過症例を目指して―歯科医師は天職―」(添島正和氏、熊本県開業)
・「親子での地域医療の取り組み~変わったこと・変わらないこと~」(添島絵美氏、熊本県勤務)

 阿部氏の講演では、嚥下のメカニズムに必要な要素である口唇や咽頭、喉頭、食道、そしてそれらを動かす筋肉について、新鮮遺体を実際に解剖する映像を供覧しながら解説した。口腔周囲や頚部に多数の筋肉が何重にも折り重なっている様子に、会場の参加者らは息を呑み見入っていた。

 続く2日目は、医療面接のノウハウや再生医療、NHKの人気番組「チコちゃんに叱られる!」の制作担当者の講演など、幅広い内容となった。おもな講演は以下のとおり。

・「チェアサイドで華齢に寄り添うために必要なデンタルインタビュー」(西田 亙氏、にしだわたる糖尿病内科院長)
・「長期症例から見るDigital Dentistry の現在」(小池軍平氏、神奈川県開業)
・「歯髄細胞が拓く再生医療の未来」(中原 貴氏、日歯大教授)
・「最強の体調を手に入れる方法 女性にこそ必要なテストステロン」(熊本悦明氏、札幌医科大名誉教授)
・「『チコちゃんに叱られる!』の作り方~永遠の5歳の女の子の秘密~」(林 伸彦氏、株式会社NHKアート)
・「新生児、乳児期の全身と口腔のつながり」(上野清香氏、東京都勤務)
・「歯医者が患者になった~私の義歯装着体験~」(村岡秀明氏、千葉県・むらおか歯科矯正歯科クリニック)
・「スタンダードプリコーションを今一度考える―歯科医院で誰もができる感染対策―」(長谷川雅代氏、一般社団法人DHマネジメント協会)

 中原氏の講演では、患者から抜去した歯の歯髄から幹細胞を培養して、将来的に再生医療に用いる研究の説明が成された。最近の進展としては、細胞をシート状に培養することに成功し、歯周組織の再生療法への応用を試みているという。

 もともとは昨年の5月に開催予定だった本大会。新型コロナウイルス感染症の影響により約1年半の延期を経つつも、ぶじ開催にこぎつけられたことに参加者は皆喜びをあらわにしていた。なお、当日の現地参加が叶わなかった方、もう一度講演を視聴したい方向けに、きたる9月16日(木)より大会Webサイトにて一部講演のアーカイブ配信が開始される予定である。