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2021年10月23日

一般社団法人日本顎関節学会、第34回学術大会を開催

「顎関節の現在、そして未来へ」をテーマに

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 10月23日(土)から11月23日(火)の約1か月間、第34回日本顎関節学会学術大会(本田和也大会長、鱒見進一理事長)が「顎関節の現在、そして未来へ」をテーマに掲げ、Web配信されている。

 メインシンポジウムは、「顎関節と隣接医学の現在、そして未来」と題して、本田和也氏(日大)、島田 淳氏(東京都開業)の座長のもと、平山晃康氏、丹羽秀夫氏(ともに日大松戸)、松平 浩氏(東大)らが講演を行った。まず、島田氏が「顎関節症と鑑別疾患を要する疾患あるいは障害(日本顎関節学会、2014年)」を提示し、顎関節を扱ううえでは、これに関連する多くの疾患についての基本的知識が必要になるが、そのすべての疾患に精通することは現実的でないため、広く浅く知り、必要に応じて医科と連携することが重要だと語った。

 次に平山氏は、「顎関節疾患と脳神経外科疾患の鑑別―頭痛、顔面痛ほか―」と題して登壇。顎関節疾患と脳神経外科疾患の鑑別を行うためには、X線やエコー、MRIなどを用いた画像診断、およびドラッグチャレンジテストなどの薬物診断で行うことを、症例を通して語った。

 丹羽氏は、「顎関節疾患と耳鼻咽喉科疾患の鑑別診断―症状からの検討―」と題して、歯科領域との関連が考慮される耳鼻咽喉科疾患を提示し、共通する症状から鑑別すべき疾患を検討することが重要であると述べた。

 最後に松平氏は、「Chronic Painの多面的評価に基づく治療介入と健康寿命の延伸に向けた運動器の包括的な評価・介入(ASOコンセプト)について」と題して登壇。慢性的な痛みのある患者に対して、三次元的思考(疼痛メカニズム、心理社会的要因、移動能力)を考慮して向き合うことが重要であると述べた。

 「顎関節疾患の診断と外科治療―運動療法が奏功しない場合の対応について考える―」と題して行われたシンポジウム3において、島田氏は、「運動療法を主体とした初期治療が奏功しなかった症例を考える」の演題で講演を行った。氏は開業医としての立場から、外科的治療ではなく保存療法に焦点をあてて話しており、顎関節症の基本治療は、顎関節可動域訓練、自己牽引療法などのセルフケア運動療法がメインであると話した。また、セルフケア運動療法などの保存療法が奏功しない要因は、第一に知識や技術、経験がないなどの歯科医師側に問題があること、第二に器質的問題、心理社会的要因などの患者側に問題があることを提示した。それらを考慮したうえで治療を行い改善しない場合は、3か月を目安に専門医に紹介し連携することが重要だと語った。

 なお次回は、山口泰彦大会長(北大)のもと、きたる2022年7月2日(土)、3日(日)の両日、札幌市教育文化会館(北海道)にて開催予定である。