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2022年3月16日

クインテッセンス出版株式会社、第20回WEBINARを開催

宮崎真至氏が「象牙質知覚過敏のScience&Art~今、わかっていること、いないこと、日常臨床でできること~」のテーマでWeb講演

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 さる3月16日(水)、宮崎真至氏(日大歯学部保存学教室修復学講座)によるWEBINAR #20「象牙質知覚過敏のScience&Art~今、わかっていること、いないこと、日常臨床でできること~」(クインテッセンス出版主催、北峯康充代表取締役社長)が開催された。本セミナーは『ザ・クインテッセンス』2022年1月号に掲載された同タイトルの特集論文の内容をベースに行われた。

 宮崎氏は導入として歯の損耗(tooth wear)の原因について説明。その中で特に個人の生活習慣がもっとも反映される酸蝕歯について言及し、その進行に影響を及ぼす因子を示すとともに、咬耗や摩耗の影響によって引き起こされる知覚過敏の要因を挙げた。

 前半は主に、象牙質知覚過敏の発生メカニズム仮説について(1)象牙細管内神経分布説、(2)象牙芽細胞受容器説、(3)動水力学説、(4)知覚受容複合体説の4つを紹介し、知覚過敏が発生するまでの機構をていねいに解説した。

 まず、象牙質が刺激を受けることによりTRPチャネルを活性化させることや、TRPチャネルの活性化により細胞外からカルシウムイオン(Ca2+)の流入が起こることで細胞内のATP濃度が上昇し、活性化したパネキシン(膜タンパク)から細胞外へATPを放出するメカニズムを供覧。放出されたATPはP2X受容体と結合する細胞間シグナル伝達の機序を示すなど、痛みが生じるまでの過程を詳説した。

 後半は、知覚過敏の診査・診断から処置に至るまでをフローチャートにして解説した。象牙質の露出は咬耗、摩耗破折、酸蝕あるいは歯根露出にともなうセメント質の喪失などさまざまな原因で起こることにふれ、知覚過敏の作用機序は知覚の鈍麻や凝固による細胞封鎖、析出物による細管封鎖や物理的表面被覆に分類できると説明。それぞれの作用機序を明示しながら、用途に合った知覚過敏抑制剤の使用を促した。

 講演後の質疑応答にて、お勧めの歯磨剤や知覚過敏抑制剤を尋ねられた際には『ザ・クインテッセンス』2022年1月号の論文内においてそれらの製品が多数掲載されているページを示し、知覚過敏の症状に応じて適切な製品を選択することを勧めた。

 なお、次回のWEBINAR #21は、きたる4月27日(水)、牛窪敏博氏(大阪府開業)を招聘し、「保険のエンドを極める」をテーマに開催予定である。申し込みはこちらから。