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2022年7月24日

岡山県歯科医師会、DHスキルアップセミナーを開催

黒川 綾氏を招聘し、「今一度見直そう!歯科衛生士の魅力」のテーマにて講演

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 さる7月24日(日)、DHスキルアップセミナー(岡山県歯科医師会主催、岡山県歯科衛生士会共催)が、岡山県歯科医師会館の現地およびWeb配信のハイブリッド形式にて開催された。

 岡山県歯科医師会(西岡宏樹会長)は、歯科衛生士の就労環境の改善に力を入れており、「歯科衛生士支援事業」の名のもと、岡山県歯科衛生士会と歯科衛生士養成校の3者が共同して歯科衛生士の離職防止と復職支援を同時に進める事業を構築している。本セミナーは、歯科衛生士のキャリアサポートを目的に黒川 綾氏(フリーランス歯科衛生士)を招聘し、スキルアップのための講演「今一度見直そう!歯科衛生士の魅力」が行われた。

 主催者を代表して木村里栄氏(岡山県歯科医師会副会長)による挨拶後、第1部「歯を守るということは付着を守る」のテーマで講演が行われた。冒頭、黒川氏は「歯科医院を『幸せを創造する場』にしていきたい」との自身の歯科衛生士としての活動理念をはじめ、患者さんやクリニック、スタッフ3者間の自他共栄の理想について語った。続いて、患者さんの歯を守るための上皮性付着の重要性について言及。歯周組織図を供覧しながら、歯を守るためのポイントとして、骨を壊す破骨細胞の存在や接合上皮とエナメル質が付着していること(上皮性付着)を解説し、歯科衛生士がそれらのメカニズムを理解したうえで患者さんと情報を共有することの大切さを強調した。その後は、結合組織性付着の破壊について細菌感染が炎症を引き起こし、その結果コラーゲン線維の破壊や上皮の潰瘍を招くことを説明した。

 第2部は「ライフステージにおけるサポートのポイント」のテーマで講演が行われた。高齢化や健康寿命、フレイル、認知症といった社会問題を挙げ、歯科衛生士のミッションに「生涯にわたり口腔状態の維持安定をサポートし、全身の健康に寄与することで健康寿命を延伸する」を掲げた。その後は、これまで氏が介入してきた症例を挙げながら、特に壮年期、高齢期におけるライフステージを意識した歯科医療戦略について詳説。なかでも高齢期においてみられるサルコペニアや認知症、残存歯数の減少について言及するとともに、これまで高齢者の行動変容を促してきた氏の豊富な経験談を披露した。また高齢期では手術を行うことが難しくなることにふれ、壮年期の段階から口腔内の状態を良好に保つことの重要性を強調した。最後は、「結果をともなわずして定期来院をいただくことは厳しいです。まずは10年間患者さんをサポートすることを目指しましょう」と述べ、本セミナーをまとめた。