2023年2月1日掲載

菅井敏郎氏がサイナスフロアエレベーションの診断と手技について語る

クインテッセンス出版株式会社、第35回WEBINARを開催

クインテッセンス出版株式会社、第35回WEBINARを開催
 さる2月1日(水)、WEBINAR #35「これだけは知っておこう! サイナスフロアエレベーションを安全に行うための難易度分類と手術手技」(クインテッセンス出版主催、北峯康充代表取締役社長)が開催された。本セミナーは、2023年1月に刊行されたばかりの書籍『サイナスフロアエレベーションアルティメットガイド』の監著者である菅井敏郎氏(東京都開業)を演者に迎えて行われた。

 最初に菅井氏は、多くの論文により予知性があり効果的な上顎臼歯部の骨造成法とされているサイナスフロアエレベーション(上顎洞底挙上術)であるが、近年多くのトラブルが報告されていることを日本顎顔面インプラント学会の調査データをもとに示し、術前の診断の重要性を訴えた。診断のポイントとして、CT画像を用いて自然孔から篩骨漏斗を経て中鼻道へとつながる上顎洞換気排泄路が開通し、正常であることを確認することを挙げ、サイナスフロアエレベーションでふれることになる上顎洞の構造と各組織について語った。そして、サイナスフロアエレベーションの治療計画を立てるにあたってのクレスタルアプローチ(歯槽頂アプローチ)とラテラルウィンドウテクニック(側方開窓術)の選択基準をディシジョンツリーとともに説明した。

 次に、ラテラルウィンドウテクニックを行うにあたって、術者自身のレベルに応じた症例選択をするための診断基準となる「ST分類」について解説した。この分類では、CT画像で上顎洞の側方面観や洞底部の角度、隔壁の有無、骨壁の厚みなどをみて、難易度をS(Simple:易)、T(Tough:難)、ST(Super Tough:極めて難)としている。

 その後、ST分類に基づいて上顎洞形態を分類し、形態ごとの手術手技を詳細に述べた。さらに、出血や上顎洞炎、インプラント迷入などのトラブルが生じた際の対応法についても解説した。

 最後のまとめでは「歯科口腔外科的なトラブルは、難易度分類を把握して自身のレベルの範囲内で安全に手術を行うことによって減少させることができる。自身のレベルを超えた症例については専門機関に委ねることも一法である」と語り、さらに「サイナスフロアエレベーションは歯科インプラント治療のための一手段であるものの、上顎洞に触れるからには上顎洞底のみにとらわれず、上顎洞の解剖や生理を理解し副鼻腔全体を把握しなければならない」と結んだ。

 なお、次回のWEBINAR#36は、きたる3月28日(火)、米澤大地氏(兵庫県開業)を招聘し、「GPがはじめる矯正歯科臨床の手引き」のテーマで開催予定である。詳細とお申込みはこちらから。

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