2023年3月18日掲載

「2025年を目指した歯科医療体制の再構築」をテーマに開催

第32回日本有病者歯科医療学会学術大会がハイブリッド形式で開催

第32回日本有病者歯科医療学会学術大会がハイブリッド形式で開催
 さる3月18日(土)、19日(日)の両日、第32回日本有病者歯科医療学会学術大会(栗田 浩大会長、今井 裕理事長)が、大会テーマ「2025年を目指した歯科医療体制の再構築」として、軽井沢プリンスホテルウエスト(長野県)とWeb配信のハイブリッド形式で開催された。現地には、歯科医療者約500名が参集した。

 18日に行われた歯科衛生士セミナー「がんと生きる、がんサバイバーの口腔管理」では、基調講演として上野尚雄氏(国立がん研究センター中央病院歯科医長)が登壇。「がんサバイバーの治療と生活を、口腔から支援する」と題して、口腔粘膜炎をはじめ化学療法時の副反応を軽減するために、専門的な口腔衛生管理を行うことの重要性を再確認した。専門職が行う口腔ケアや患者指導は、口腔衛生の向上により口腔粘膜炎の発症を抑えるほか、患者のQOLの改善も期待できるとした。上野氏の発表を受け、所 真由美氏(看護師、信州大医学部附属病院信州がんセンター)と高本 愛氏(歯科衛生士、信州大学医学部附属病院特殊歯科口腔外科)が、多職種連携や通院治療室の設置を通じて患者さんの口腔衛生に介入する機会を増やしている例を、同院での取り組みをもとに述べた。また、患者の代表として一般の女性が、がん治療の副反応が口腔衛生管理によって楽になったことを語った。

 同日午後の教育講演2では、岸本裕充氏(兵庫医科大教授)が「薬剤関連顎骨壊死対策のポジションペーパーの改訂」と題して登壇。現在、薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)に関して、日本口腔外科学会が中心となってポジションペーパー2023を作成している。本講演では、これまでの国内外のMRONJへの見解や対応をたどり、今日までどのように考え方が変わってきたのかを再確認し、さらにポジションペーパー2023の改訂のポイントを8つにまとめ解説した。特筆すべきは、「歯周病や根尖病変などの炎症性歯科疾患があることがMRONJのリスクになっている」「予防的休薬は推奨しない」とされたことであると述べた。

 ほかにも特別講演や教育講演、一般口演など、2日間にわたり多くのプログラムが実施された。当日はあいにく降雪に見舞われたが、その寒さを忘れさせるほどの盛り上がりを見せた2日間であった。

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