2023年4月13日掲載

「Ⅱ級1類への考え方」をテーマに

東京矯正歯科学会、2023年度春季セミナー開催

東京矯正歯科学会、2023年度春季セミナー開催
 さる4月13日(木)、有楽町朝日ホール(東京都)において、東京矯正歯科学会(本吉 満会長)2023年度春季セミナーが開催された。

 今回は「Ⅱ級1類への考え方」をテーマとして、渡辺和也氏(東京都開業)、小川晴也氏(広島県開業)、清水典佳氏(日大特任教授)が講演を行った。Ⅱ級1類不正咬合は、十分な被蓋の改善と適正なトルクコントロール、場合によっては上顎大臼歯の遠心移動と、後戻り予防のための長期的な経過観察が必要とされる難症例であり、かつ矯正歯科では比較的遭遇しやすい不正咬合であることから、基本に立ち返る意味も込めて今回のテーマに選ばれた。

 まず渡辺氏は「AngleⅡ級1類 成人症例に対する治療について―.022 Straight Wire Edgewise法を使用して―」と題し、矯正歯科治療は診断・装置・メカニクスが歯車として咬み合う必要があること、そのために検査やセファロ分析で診るべき項目について列挙し解説した。またAngleからTweed、Roth、McLarenを経て現在に至る歯科矯正学におけるテクニックの変遷をたどった後、症例をとおしてストレートワイヤーアプライアンス(SWA)におけるシンプルなメカニクスの解説を行った。

 次に小川氏が「Ⅱ級1類、その骨格パターンや治療方針の違いによる長期術後経過の相違について」と題して講演した。まず骨格の違いによる治療計画の考え方が説明されたあと、氏の医院における治療終了後10~20年経過観察を続けることができている症例から、矯正歯科治療後の症例が、もともともつ骨格的特徴や習癖などの生活状況からどのような変遷をたどったかという貴重な知見が共有された。

 最後に清水氏が「上顎前突症例におけるTADと顎矯正手術の発展に伴う治療方針の変遷」と題して登壇し、咬合の改善と同時に側貌の改善を重視するTweed法に基づいたⅡ級1類不正咬合の治療について解説した。氏はヘッドギアの使用や外科的矯正治療が必要と思われる骨格的問題を抱えた症例に対し、TADがもたらした恩恵(ヘッドギアコンプライアンス依存からの脱却、低侵襲性)について述べ、効果的な治療のための治療計画がTADの登場によって劇的に変わったことを、登場前後の症例を見比べながら解説した。

 なお、同会が主催する第82回東京矯正歯科学会学術大会は、きたる7月13日(木)に同地にて開催予定である。

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