2023年5月19日掲載

馬場理事長が2年間の任期を総括

(公社)日本補綴歯科学会、令和5年度第2回プレス説明会を開催

(公社)日本補綴歯科学会、令和5年度第2回プレス説明会を開催
 さる5月19日(金)、パシフィコ横浜(神奈川県)において、公益社団法人日本補綴歯科学会(馬場一美理事長)による令和5年度第2回プレス説明会が開催された。本説明会は、同日から21日までの3日間、現地開催とWeb配信を併用したハイブリッド形式の「第132回学術大会―設立90周年記念大会―」に先立ち、報道関係者と賛助会員に対する周知活動を目的に開催された。

 冒頭、馬場氏より2年間の理事長任期満了を受け、これまでの活動の総括がなされた。なかでも馬場氏は、「金銀パラジウム合金の高騰が医療経済に多大なる影響を与えている」と述べ、代替手段としてCAD/CAM冠の適応拡大(第二大臼歯への保険適用)の実現への具体的な検討を挙げた。また、公益社団法人日本老年精神医学会(池田 学理事長)との協働による認知症と咀嚼機能の関連研究を活動成果として強調した。さらに、広告可能な歯科専門医として「補綴歯科」の認証に向けた補綴歯科専門医制度(仮称)の進捗状況について、最終段階の運用診査まで進んでいることが報告された。

 次に、河相安彦氏(修練医・認定医・専門医制度委員会委員長)より、昨年4月から施行された本学会の専門医制度について解説がなされた。河相氏は、補綴歯科治療の到達目標の基準を定める修練医・認定医・専門医の3つの段階的なキャリアパスを設けたことや、術者の習熟度と症例難度の適正化を図るため、症例難度が4段階にレベル分けされたことが説明された。

 続いて、田邉憲昌氏(医療問題検討委員会委員)より、金銀パラジウム合金価格高騰問題への本学会の対応について補足説明がなされた。CAD/CAM冠の第二大臼歯への保険適用の要望書を昨年5月に厚生労働省に提出したことに対し、保険収載にはしばらく時間を要することから実現に向けたエビデンスの集積およびPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)やチタン、鋳造用のチタンによるブリッジも追加で保険収載をはたらきかけていることが述べられた。

 その後は、大久保力廣氏(学術委員会委員長)より、学生技能コンペティションの概要説明、江草 宏氏(JPR編集委員会委員長)より、オープンサイエンスの推進を目的とした学会公式国際誌(Journal of Prosthodontic Research)の紹介がなされた。また、笛木賢治氏(研究企画推進委員会委員長)より、日本老年精神医学会との医科歯科連携研究(ECCOプロジェクト)の進捗状況、近藤尚知氏(用語検討委員会委員長)より、歯科補綴学専門用語集第6版の発刊が報告された。

 最後に、上田貴之氏(設立90周年記念事業準備委員会委員長)より、きたる6月11日に帝国ホテル東京(東京都)において開催予定の設立90周年記念講演会・祝賀会の開催概要が説明された。

 なお、5月24日(水)に行われた日本歯科専門医機構理事会にて「補綴歯科専門医制度」が正式に認定されたことが同日のプレスリリースにて発表された。

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