2023年6月4日掲載

「歯科医療安全最前線 —地域医療から全国へ 全国から世界へ―」をテーマに

第7回国際歯科医療安全機構総会・学術大会開催

第7回国際歯科医療安全機構総会・学術大会開催
 さる6月4日(日)、一般社団法人国際歯科医療安全機構第7回総会・学術大会(金田 隆大会長、瀬戸●(かん)一[●は日へんに完]理事長)が、日本大学松戸歯学部を会場に現地およびWeb配信のハイブリッド形式にて開催された。

 冒頭、理事長の瀬戸氏より、歯科診療現場における医療事故予防・対応や感染症拡大防止対策など、患者安全の理念に基づき2018年に立ち上げた本機構の立ち上げの経緯を紹介した。さらに、2020年からのCOVID-19パンデミックにおいては、大規模感染症の拡大防止策につながる、うがいや口腔ケアの重要性を広く歯科界にアピールしてきた実績を報告。今後も歯科関係者が顎口腔を中心とした患者の安全管理を行うことにより、医科歯科連携が推進されるよう地道に活動を続けていくとの意欲を語った。

 放射線医療に関する講演のなかで、酒井 修氏(医師、ボストン大教授)が米国におけるその最前線をテーマに登壇。AIによる画像の質的向上や検査時間の短縮、読影優先順位の決定など、臨床の現場にすでにAIが導入・浸透されてきていることを紹介するとともに、放射線検査の多様化・複雑化などによる放射線医の負担の増加などの課題も述べた。

 医療安全に関する講演として、高原正明氏(千葉県歯科医師会会長)より、委員会を組織して医療安全管理体制構築の支援やマニュアル作成などを行っている、千葉県歯科医師会の医療管理の各種事業について、早川琢郎氏(千葉県歯科医師会副会長)からは、歯科治療時のトラブルとして多い誤飲・誤嚥事故を中心に、事例も交えてのトラブル対応について、鵜澤一弘氏(千葉大教授)より、自施設を中心とした医科歯科連携を基盤とした大学病院における医療安全の取り組みについて紹介。各演者からは、普段からのスタッフや関係者との情報共有やコミュニケーションの重要性が強調された。

 最後に大会長講演として、金田氏(日大松戸歯学部教授)より、歯科医院における画像を用いたリスクマネージメントについて、患者からの訴訟など医療を取り巻く環境が厳しさを増すなかで、画像検査時に写り込んだ主訴以外の病変の症例を提示し、他の病変も見落とさず発見できることの重要性を示したうえで、読影の注意事項や記録の充実、患者へのインフォームドコンセント、最新の状況へのアップデートなど、今日求められる技能やポイントなどを解説した。

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