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2023年7月23日掲載

国民皆歯科健診の社会実装に向けた情報交換が行われる

(一社)日本口腔検査学会、国民皆歯科健診について考えるキックオフミーティングを開催

(一社)日本口腔検査学会、国民皆歯科健診について考えるキックオフミーティングを開催
 さる7月23日(日)、日本大学(東京都)において、一般社団法人日本口腔検査学会(福本雅彦理事長、以下、本学会)による国民皆歯科健診について考えるキックオフミーティング(福本雅彦大会長)が開催された。本学会は、歯科領域の各学会をはじめ大学などの研究機関、関連企業との連携を積極的に推進し、歯科医療における各検査の必要性と重要性を社会に発信する活動を行っている団体である。

 冒頭、石井良昌氏(理事)より開会の辞が行われた後、福本氏と小林隆太郎氏(日本歯科医学会副会長)より開会ならびに来賓の挨拶がなされた。福本氏は、国民の健康に資する国民皆歯科健診の意義とともに本会の開催概要について述べた。続いて小林氏は、日本歯科医学会の目標である健康寿命の延伸に言及し、新技術の貢献をはじめ歯科界のこれからの発展に寄与する本学会と密な連携を図るとともに今後の展開へ期待を寄せた。

 次に、福本氏の座長のもと、セッション1「基調講演」が3題行われた。講演1では、山本秀樹氏(日本歯科医師会常務理事)が「国民皆歯科健診が国民的コンセンサスを得るために」と題し講演。山本氏は、生涯を通じた歯科健診を実現させるにあたり課題を明確にするとともに、各自治体の努力義務から法制化に向けた整備や、働く世代の歯科健診の社会実装につなげる重要性を説いた。

 講演2では、山田 宏氏(参議院議員)が「国民皆歯科健診のコンセプト」と題し講演。まず山田氏は、国民皆歯科健診の実現に向け歯科医師でない自身が尽力する理由について、杉並区長時代に歯科の重要性を認識したエピソードを交えながら力説した。そして、勤労世代の口腔管理をつうじた労働生産性の向上や医療費の最適化に寄与することを強調し、法案の可決に向けたビジョンを示した。

 講演3では、小椋正之氏(厚生労働省歯科保健課長)が「国民皆歯科健診と健康について」と題し講演。小椋氏は、歯科健診の受診状況をはじめとする関連データやこれまでの各地の取り組みを多数供覧した。なかでも、歯科の受診回数が年に1度以下と考えられる割合が約50%と述べ、受診を促す必要性とともに歯科受診に直結するような政策を実現させるためのエビデンス集積の重要性についてもふれた。

 続いて、セッション2「検査項目を考える」では、松坂賢一氏(副理事長)の座長のもと、花田信弘氏(鶴見大歯学部名誉教授)による講演「全身からみた口腔検査」、栗田 浩氏(信州大医学部歯科口腔外科教授)による講演「唾液検査の有用性」、平野浩彦氏(東京都健康長寿医療センター研究部長・歯科口腔外科部長)による講演「口腔機能検査の果たす役割」がそれぞれ行われた。3氏は、検査の有用性や意義を示しながら、国民の健康寿命の延伸や医療費の適正化への貢献をアピールした。
 
 最後のセッション3「総合討論・質疑応答」では、津島克正氏、武内博朗氏(ともに理事)の座長のもと、6名の演者が再び登壇。国民皆歯科健診制度の中身の具体的検討や、実現させるための方策について意見が交わされた。なかでも山田氏は、妊産婦の歯周病が早産や流産につながること挙げ、「まずは、これから親になろうとしている世代に歯科の重要性について関心をもってもらう。そして、妊産婦の歯科健診を普及させることが全国民の歯科健診実現の突破口になるのではないか」と意見を述べていたことが印象的であった。

 その後福本氏より演者へ感謝状が贈呈され、康本征史氏(理事)の閉会の辞にて本会は終幕した。
 
 国民皆歯科健診制度の具体的な中身が固まりつつあり、実現に向けた準備が着々と整えられていることが感じられる会となった。

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