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2010年5月30日

第12回PSD学術大会開催

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 さる5月30日(日)、エルイン京都(京都府)において、第12回PSD学術大会(日本補綴構造設計協会主催、川島 哲理事長)が約50名の参加者を集めて開催された。PSDとは「Prosthetic Structure Designer」(=補綴構造設計士)の略であり、同協会は、キャストパーシャルデンチャーの設計を数値化し、「補綴構造設計」を学問として確立させるべく日々技術の研鑽に励んでいる。

 当日は、同協会の師範講師で昨年11月に急逝した古賀壮一氏(エス・ケー・クラウン)への黙祷から始まった。川島理事長は、古賀氏ともっとも長く過ごせたというIDS:international dental show(独)の思い出話を記念写真とともに披露した。そして、「非常につらい出来事だったが、彼の遺志を背負っていくことが生きているものの責任」とし、前向きに進んでいく決意を述べた。

 午前中に「キャストデンチャーのすべて・・・・39年間の経験」と題して講演を行った川島氏は、まず、デンチャーは「身体への適合」、「脳への適合」、「心への適合」が必要であると述べた。なかでも、この「心」とは、デンチャーデザインを含む患者からの総合評価であるとし、患者に一目ぼれされるようなデンチャーを製作していきたいとした。次に川島氏は、自身の経験から判断した「現状でもっとも適合のよい複印象の材料」を披露した。臨床経験豊富な川島氏が、どのような理由でその材料を選択しているのか、受講者の大きな関心を集めた。

 昼食前にはともに同協会の師範講師である八巻賢一氏(東北歯科技工専門学校)と 奥森健史氏(デンタル プログレッシブ)が議長・副議長を務め、総会が行われた。本協会が総会を開催するのは今回が初めてであるが、その開催理由は「PSDをオープンな会にして、会員の意見を拝聴したい」というものであった。

 午後の講演では、椙岡宣好氏(石川県開業)が「欠損補綴・その先に見えるもの」と題して、ハイブリッドデンチャーの概念を披露した。椙岡氏によると、ハイブリットデンチャーとは、CAD/CAMテクノロジー、インプラントテクノロジー、デンチャーテクノロジーの3つが融合したものであり、通常のインプラントオーバーデンチャーとは一線を画すものであるということであった。

 キャストパーシャルデンチャーの道を39年歩き続けてきた川島氏の魂を込めるような講演に、集まった受講者は真剣に耳を傾けていた。また、同協会では聴覚に障害をもつ参加者向けに、手話通訳と音声変換同時字幕表示システムが設置されていたのも印象的であった。