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2010年6月12日

日本補綴歯科学会第119回学術大会開催

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 さる6月11日(金)から13日(日)の3日間、東京ビッグサイトにおいて、「日本補綴歯科学会第119回学術大会」(志賀 博大会長、佐々木啓一理事長)が開催された。会場では3日間にわたり、一般口演・課題口演・海外特別講演・各種シンポジウムなどが行われ、盛況となった。以下に主要な演題とその概要を示す。

(1)海外特別講演「ファイバー補強コンポジット素材による歯科補綴学と再建医学の未来」(Dr. Pekka K. Vallittu〔トゥルク大〕、新谷明喜座長〔日歯大生命歯学部歯科補綴学第2講座教授〕)
 本講演ではまず、近年義歯床や接着ブリッジへの応用が進んでいるファイバー補強コンポジット素材の開発の歴史や構造を概観。木材を構成する繊維の走行が強度に与える影響などを例に、同素材の構造をわかりやすく示した。その後、同素材のファイバーポストや全部床義歯、そして接着ブリッジへの臨床例を供覧した。

(2)ミニシンポジウム「口腔機能の維持を主眼とした義歯の長期的管理」(藤井重壽氏、東京都開業)
 本シンポジウムで藤井氏は、大学において12年、そして開業以来25年にわたって義歯治療を行ってきた経験から、臨床的な示唆に富んだ9症例を提示。前後的すれ違い咬合や不安定な顎位を示した症例などに対し、適切な咬合高径の付与や床縁設定を行って良好な結果を得た例を示した。なお、各症例中ではグミゼリーからのグルコース溶出量を指標とした咀嚼能率検査も行われており、その臨床での応用可能性も示された。

(3)臨床シンポジウム4「補綴歯科治療の長期症例から学ぶ」(阿部二郎氏、矢沢一浩座長〔ともに東京都開業〕)
 本シンポジウムで阿部氏は、(1)短縮歯列における顎堤吸収、(2)長期安定を求める上顎前歯部フラビーガムの治療法、(3)下顎総義歯の吸着、の3部に分けてそれぞれ解説。将来の補綴治療の難易度を考慮すれば(顎堤吸収の防止)短い遊離端欠損にもパーシャルデンチャーやインプラント治療を行うほうがよいこと、フラビーガムに対しては臼歯部での後ろ噛みを確立することが必要なこと、そして下顎総義歯の吸着には辺縁全周の封鎖が不可欠なことなどが示された。

(4)専門医研修会「審美歯科におけるチームプレー Esthetic Zoneにおける天然歯・インプラント補綴」(行田克則氏〔東京都開業〕、小田中康裕氏〔バーレン〕、祇園白信仁座長〔日大歯学部歯科補綴学1講座教授〕)
 本研修会では、歯科医師―歯科技工士のチーム医療を実践していることで著名な2氏がリレー講演。行田氏はおもに天然歯周囲組織とインプラント周囲組織の違いについて、そして小田中氏は模型のみでインプラント技工を行わねばならない歯科技工士の立場に立ち、模型上から想定される歯間乳頭の回復度の読み方などを示した。

 なお、来年度の本学会は、2011年5月20日(金)から22日(日)にかけて広島県にて開催予定とのこと。