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2010年7月4日

2010年度 東京SJCDテクニシャンミーティング開催

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 さる7月4日(日)、浜離宮朝日ホール(東京都)において、「2010年度 東京SJCDテクニシャンミーティング」(東京SJCD主催、鈴木真名会長)が開催された。本ミーティングは、東京SJCDの中でもとくに歯科技工士会員を対象として例年行われているもの。本年度も会場には多数の聴講者が参集し、盛況となった。以下、当日披露された4演題の概要を示す。

(1)「審美修復におけるチェアサイドとラボサイドの有機的なコミュニケーションとは」(土屋賢司氏、東京都開業/土屋 覚氏、Dent Craft Studio)
 本講演では、標記のテーマを達成するための考慮事項についてポーセレンラミネートベニア症例を基に解説がなされた。なかでも、モックアップを用いた患者の要望の把握、およびそれを基にしたチェアサイドとラボサイドの意見のすり合わせについて多く語られた。また、土屋 覚氏は前半で自らの歯科技工士としてのキャリア、および歯科医師とのコミュニケーションの齟齬から生じてしまったトラブルについて惜しみなく紹介。これを通じ、若手歯科技工士に対して出会い・学びのたいせつさと適切なコミュニケーションの必要性を訴えた。

(2)「顎運動を考慮した補綴物を目指して」(祖父江 学氏、東京都開業/厳 哲氏、ナイスフィット)
 本講演では、補綴治療に携わるにあたって健全な歯列に学ぶことの重要性が強調された後、歯列には問題ないにもかかわらず下顎右側第一大臼歯メタルセラミッククラウンがチッピングした症例が供覧された。これを受け、本症例のリカバリーのためのスタディモデルの製作、フェイスボウ・トランスファー、ファセットの観察、咬合器上での咬合分析といったベーシックな工程を経てゴールドクラウンが製作される過程が示された。これに対し祖父江氏は、「こうした工程は面倒には違いないが、顎運動を考慮した補綴物製作のためには欠かせない過程であり、また歯科技工士との協働が欠かせない」とした。

(3)「プロセラフォルテを活用したフルマウスリコンストラクション」(佐々木俊哉氏、秋田県開業/関 錦二郎氏、関錦二郎商店)
 本講演では、プロセラブリッジ ジルコニア(ノーベルバイオケア)を用いたフルマウスリコンストラクションの過程が、支台歯形成~削除ガイドの製作、および補綴設計~最終装着時にわたって示された。とくに、CAD/CAMシステムならではの機械的なアンダーカットの検知~それに応じた削除ガイドの製作を通じたチェアサイドとラボサイドのコミュニケーションが注目された。

(4)「インプラント補綴成功のために技工士ができること」(皆川 仁氏、東京都開業/今井正秀氏、Abilita Dental Laboratory)
 本講演ではまず、従来広く用いられてきたインプラント埋入用サージカルステントの問題点を指摘。「レジン製の診断用ステントを二分割して使用するため、ドリルの流れが生じてきた」などと述べたうえで、両氏が現在製作・使用している診断用ステント兼サージカルステントが紹介された。本ステントは、欠損部のフルカントゥアのワックスアップをエックス線造影性レジン(スキャンレジン、山八歯材工業)で置換し、これを用いてCT撮影~レジン歯冠への金属製チューブの挿入(=インプラント埋入方向の設定)~再CT撮影~インプラント埋入、を行うもの、これにより、より精度の高いインプラント治療が行えるとした。また、各社のサージカルステント製作システムについても解説がなされた。