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2010年8月31日

国立がん研究センターと日歯、「がん患者歯科医療連携合意書」に調印

がん治療、歯科との連携が不可欠な時代へ

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 さる8月31日(火)、国立がん研究センター(東京都)において、国立がん研究センター(嘉山孝正理事長)ならびに日本歯科医師会(以下、日歯、大久保満男会長)による「がん患者歯科医療連携合意書」調印式および記者発表会が開催された。

 本調印式では、がん患者のがん治療にともなう口腔合併症などの予防・軽減と、すべてのがん患者が安心して歯科治療や口腔ケアを継続的に受けることのできる社会基盤を協働して構築する旨の合意がなされた。

 会見で嘉山孝正氏は、日歯との医科歯科連携事業について、「日本全国に広がるという意味において、1つのエポックメイキングな調印式となる」と述べた。続いて大久保満男氏は、「われわれ歯科医師が、がん患者さんの生きる力を支えていきたい」と述べ、2006年の会長就任時から主張し続けている「歯科医療は生きる力を支える生活の医療」を強調した。

 その後の会場では、池主憲夫氏(日歯常務理事)より今回の連携に関する経緯と展望について説明がなされたほか、国立がん研究センターの上野尚雄氏(国立がん研究センター中央病院歯科口腔科)より歯科医療連携事業の概要、がん治療中に発生する口腔内合併症や口腔ケアの重要性について概説された。会場にはがん治療を受けた患者さんも出席し、治療後に歯科受診を拒否された自身の経験を交えながら、本連携事業によってがん患者が安心して歯科治療を受けることができる体制づくりに期待を寄せた。 

 今後の展開として、初年度は国立がん研究センターで手術を受ける関東圏の1都4県(千葉、埼玉、東京、神奈川、山梨)のがん患者を対象に手術前および化学療法治療前後の口腔ケア、がん終末期の歯科治療・口腔ケアを地域の歯科医療機関と連携して実施し、連携モデル構築を目指す。最終的には2013年度を目標に、地域医療連携ネットワークを全国のがん診療連携拠点病院(約380施設)に拡充させたい考え。

 なお、関東圏の日歯会員を対象とした連携講習会は、きたる9月25日(土)の山梨県歯科医師会を皮切りにスタートし、東京、埼玉、千葉、神奈川と順次12月まで開催され、手術前のがん患者には、受講を修了した歯科医療機関に歯科受診を促す。

 歯科治療や口腔ケアによって、がん治療の質と治療結果を向上させることが明らかになってきた現在、がん治療は歯科との連携なしではスタートできない時代が到来しつつある。