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2010年9月8日

第15回成育歯科医療研究会大会開催

「成育歯科医療への夢」をテーマに

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 さる9月8日(水)、9日(木)の2日間、西日本総合展示場AIMビル(福岡県)において、第15回成育歯科医療研究会大会(牧 憲司大会長、佐橋喜志夫会長)が、参加者約100名を集め、「成育歯科医療への夢」をテーマに開催された。

 本研究会は、「障害や疾患の有無にかかわらず、こどもが持つ『口』の働きが充分に活かされ、子どもの心身が健康に育つよう養育者と一緒に考え、成育・育児・子育て支援を行うこと。さらにその成果を次の世代の成育に継承していくこと」を旨とし、「咬合誘導研究会」として1996年に発足後、2004年に現在の名称へと変更されている。

 1日目は、プレセミナー2題が行われ、まずは居波 徹氏(京都府開業)が「成育歯科医療研究会への想い」と題し講演。自身の矯正歯科医としての歩みと、その過程で学んだ反対咬合の鑑別診断(KIX index)、レベルアンカレッジシステム、リンガルブラケットなど種々の矯正法を症例を交えて解説。さらに、「患者の立場に立った矯正歯科治療」の考え方を、矯正治療後のクレームの実体験をもとに語った。

 その後、「小児期からのInterdisciplinary Approach~その効果と問題点~」と題して、嘉ノ海龍三氏(兵庫県開業)が登壇。矯正医と歯周・口腔外科・補綴医らとの連携の必要性を説き、とくに難症例といわれる矯正治療では彼らとの意見の疎通なしには治療ゴールは見えないことを力説した。

 2日目午前は教育講演として、「子どもの骨を考える~骨粗鬆症の現状と予防」(藤田優子氏)、「私の小児歯科医学教育への取り組み」(森川和政、ともに九歯大口腔機能発達学分野)の2題が行われた。その後、7題のポスター発表に対するディスカッション、さらには3会場に分かれてのランチョンセミナーが行われ、「不正咬合治療のタイミング~その有効性と方法、矯正医の立場から~」と題して常盤 肇氏(鶴見大歯学部歯科矯正学講座)、「小児の口腔の外傷から成育歯科医療を考える」と題して春木隆伸氏(兵庫県開業)、「パノラマX線写真から得られるイメージとマネージ」と題して岡本篤剛氏(兵庫県開業)がそれぞれ登壇した。

 午後は、「指しゃぶり」をテーマにシンポジウムが行われた。東條多恵氏(徳島県開業)が「指しゃぶりの気持ちとその対応」と題して、「当院における指しゃぶりを有する子ども達の状況」と題して田中克明氏(佐賀県開業)が、「『指しゃぶり』矯正歯科医の視点」と題して森下 格氏(雪の聖母会聖マリア病院矯正歯科)が登壇し、それぞれの考え方と自院での対応を語った。その後、参加者を交えて、3者を交えた活発なディスカッションが行われた。

 少子化が進み、その対策が叫ばれる現在の日本だからこそ、社会において子どもの健康はいっそう注目されている。そのような時代に、生涯にわたる口腔の健康、また小児期からの健全な咬合育成について多角的な議論を行う本会の意義は、今後より重要性を増すものと思われる。