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2011年5月20日

日本補綴歯科学会第120回記念学術大会開催

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 さる5月20日(金)から22日(日)の3日間、広島国際会議場(広島県)において、日本補綴歯科学会第120回記念学術大会(赤川安正大会長、古谷野 潔理事長)が開催された。第120回の節目となる今回は、初日の午後から2日半にわたって各種セミナー・セッション・シンポジウム・一般口演などが活発に行われた。また、プログラムには関連諸学会との連携など多彩な工夫が凝らされたが、とくに「臨床リレーセッション(1~5)」と題し、開業医や臨床教授をメインに補綴歯科臨床で著名な10名の座長、19名の演者を招聘した点にも注目が集まった。ここではとくに、臨床家向けに行われた演題の中から3点の概要を示す。

(1)臨床スキルアップセミナー「全部床義歯補綴を首尾よく貫徹する方法」(河相安彦氏〔日大松戸歯学部顎口腔義歯リハビリテーション学講座教授〕、越野 寿氏〔北海道医療大歯学部咬合再建補綴学講座教授〕、長岡英一座長〔鹿児島大大学院口腔顎顔面補綴学分野教授〕)

 本セミナーでは、河相氏が「無歯顎の印象採得を基本から再考する」と題し、また越野氏が「複製義歯を利用した無歯顎補綴治療」と題してそれぞれ講演。前者では「印象採得〔Impression Taking〕」と「印象調製〔Impression Making〕」の違いや、アルジネート印象材を用いた上顎概形印象採得のステップ、そして筋圧形成と精密印象採得のスキルアップを図るためのポイントなどについて述べられた。また後者では、総義歯の評価法として咀嚼機能評価を採り上げ、そのための方法(VAS法や超音波による舌運動の計測、義歯支持基盤面積の評価)を紹介。そのうえで、複製義歯を活用することで舌房や舌の動きを阻害せず、かつ個々の患者に適した床外形の義歯を製作する方法が示された。

(2)臨床リレーセッション1「クラウンブリッジアップデート」(船登彰芳氏〔石川県開業〕、川本善和氏〔東京都開業〕、五味治徳氏〔日歯大生命歯学部歯科補綴学第2講座〕、柏田聰明氏〔東京都開業〕、松村英雄座長〔日大歯学部歯科補綴学教室III講座教授〕、宮内修平座長〔大阪府開業〕)

 本セッションでは、船登氏が「補綴治療の一環としての歯周治療 ―歯周組織の安定を求めて―」、五味氏が「ファイバー補強レジンブリッジ」、川本氏が「接着と合着の選択基準 ―補綴装置の表面処理および仮着に対する注意点―」、そして柏田氏が「咬合崩壊を防ぐための補綴修復治療 ―超高齢社会で求められるパラダイムシフト―」と題してそれぞれ講演。単に機能を追求するだけでなく、現代の患者ニーズと最新材料を生かしたより満足度の高い補綴治療を行うための方法が、それぞれの視点から示された。

(3)臨床リレーセッション2「欠損歯列を読む:治療結果に影響する因子を探る」(前田芳信氏〔阪大大学院歯学研究科顎口腔機能再建学講座歯科補綴学第二教室教授〕、鷹岡竜一氏〔東京都開業〕、森本達也氏〔静岡県開業〕、牛島 隆氏〔熊本県開業〕、前田芳信座長、宮地建夫座長〔東京都開業〕)

 本セッションでは、前田氏が「歯と顎堤の欠損の拡大に影響する因子:補綴装置装着後5年以上の80症例の経過から」、鷹岡氏が「それでもパーシャルデンチャーを選択するとき」、森本氏が「力の集中による欠損の進行」、そして牛島氏が「欠損歯列におけるリスク因子データの評価」と題してそれぞれ講演。それぞれの演者が、豊富な臨床経験から「歯が欠損しやすくなる要因」「歯の欠損を促進する要因」「欠損補綴のエンドポイント」などについて考察した。

 なお、来年度の本学会は東京歯科大学を主管校とし、神奈川県民ホールにて2012年5月26日(金)、27日(日)に開催予定とのこと。