2026年9月号掲載
歯科技工士の専門性を広く活かすために
※本記事は、「新聞クイント 2026年9月号」より抜粋して掲載。
歯科技工士の不足と高齢化が進むなか、将来にわたり安定した歯科医療提供体制を維持するためには、人材の養成・確保だけでなく、その専門性をこれまで以上に活かす視点が必要である。その1つが、歯科技工士の業務範囲の拡大である。
現行法のもとでは、歯科技工士は印象採得、咬合採得、試適、装着などを行うことができない。こうした行為の一部を、歯科医師の指示のもとで歯科技工士の業務として認めるためには、法改正が必要となる。
もっとも、業務範囲だけを広げる法改正では不十分である。患者さんに直接かかわる新たな業務を担う以上、それに必要な知識・技能と臨床経験を備えていることを制度として担保しなければならない。そのため、業務範囲の見直しと併せて、教育・資格制度も一体として再設計すべきである。
具体的には、現行の2年以上の歯科技工士養成課程を基本とし、拡大業務を希望する者が、さらに1年間の追加教育を受ける仕組みが望ましいと考える。追加課程では、歯科医療機関における臨床実習を必須とし、感染対策、全身状態への配慮、偶発症への対応、患者さんとのコミュニケーションなどを体系的に学ぶ。既卒の歯科技工士にも同等の追加教育・臨床研修を受ける道を設け、その修了者に限って拡大業務を認める。
歯科技工士の専門性をより広く活かすことは、歯科医療の質の向上にもつながる。だからこそ、患者さんの安全を大前提に、業務範囲・教育・資格制度をセットで見直す法改正を進めるべきである。