2024年4月号掲載
象牙質知覚過敏のメカニズムや治療のポイントを超簡単に知りたい!
【PR】「数多くの治療法や治療剤の中から患者の症状に合ったものを選択したい」街の歯科医院の先生・歯科衛生士さんのために
※本記事は、「新聞クイント 2024年4月号」より抜粋して掲載。
近年患者さんが多くなっている象牙質知覚過敏。その原因はいくつもあり、象牙質知覚過敏用歯磨剤・抑制剤も多数開発され、その選択には迷ってしまいます。
本年3月に刊行した『超速でわかる象牙質知覚過敏 Dr.とDHのための最新知識と製品情報』の編著者の吉山昌宏氏に、象牙質知覚過敏の概要と、本書のねらい・概要などを解説していただきました。(編集部)
象牙質知覚過敏のしくみと本書のねらい
冷たい飲食物を口にしたときにズキッとする病気、すなわち象牙質知覚過敏は、従来の歯科の世界では比較的軽い病気として扱われてきました。しかしながら、最近では象牙質知覚過敏の患者さんが急増しており、歯科医院を訪れる患者さんの30%近くを占め、知覚過敏用歯磨剤のテレビCMも連日放映されています。本書の編著者である私は、象牙質知覚過敏のしくみをテーマに博士号を取得しており、露出した歯面での象牙細管の開口が最大の要因であると国内外で長年発表してきました。
本書は、主に歯科衛生士を対象として、患者さんに象牙質知覚過敏のメカニズムや治療を上手に説明できて、さらにその最新情報や製品情報がわかるように、イラストや図表を駆使してわかりやすくコンパクトにまとめました。もちろん歯科医師にも十二分に役立つ内容であると自負しています。全国から象牙質知覚過敏に造詣の深いエキスパートの先生方に各CHAPTER の執筆をお願いして、尽力していただいて完成した書籍です。
象牙質知覚過敏の治療の進め方
歯がしみるという症状があれば、すぐに象牙質知覚過敏と診断できるものではありません。痛みを感じる原因は多いので、これを象牙質知覚過敏と即断するのは危険で、確定診断が難しい病気といえます。CHAPTER 1では、知覚過敏の治療の流れについて、共著者である宮崎真至先生(日本大学)にフローチャートなどを駆使して説明していただきました。高濃度フッ素と硝酸カリウムの入った歯磨き剤のはたらきや製品についても解説していただきました。
知覚過敏の新常識
CHAPTER 2では、象牙質知覚過敏で生じる痛みを象牙質痛として捉え、歯に生じる痛みについて整理しています。 象牙質知覚過敏は一過性に生じる誘発痛であり、動水力学説によってその伝達メカニズムが説明されています。痛みの伝達のルートとしては象牙細管が重要視されており、開口した象牙細管を知覚ホールとして解説しています。私が世界で初めて発表した知覚ホールの電子顕微鏡写真も掲載されています。私が現在顧問をしている大塚歯科医院(香川県丸亀市)では、患者さんに電子顕微鏡写真や模式図を見せて説明していますので、ぜひ全国の歯科衛生士にも活用していただきたいと考えています。
さらにCHAPTER 3では、知覚過敏の原因と見極めについて、共著者である向井義晴先生(神奈川歯科大学)に解説していただき、歯肉退縮の原因や、象牙の露出につながるNCCL (非う蝕性歯頚部欠損)、酸蝕、磨耗、咬耗、アブフラクションについて図を用いてわかりやすく説明されています。
知覚過敏の対応の決め方
CHAPTER 4では、有名な臨床家である須崎 明先生 (愛知県開業)に実際の対応の決め方を解説していただきました。知覚過敏の解決の近道は、歯科医師と歯科衛生士のチームアプローチといえます。外傷性咬合、TCH、パラファンクションなどへの対応についても、実際の臨床写真を用いて解説していただきました。
知覚過敏用歯磨剤&抑制剤ベスト23解説
CHAPTER 5と6では、積極的な象牙質知覚過敏への対応を大きく4つに分けて詳しく説明しています。すなわち、鈍麻、凝固、蓋(結晶物)、蓋 (バーニッシュ系、グラスアイオノマーセメント系、レジン系)で、それぞれの作用機序や手順を示しています。また、知覚過敏に使用する歯磨剤・抑制剤の中でも、一般的に多用されている23製品をピックアップして、各製品について概要・特徴・作用機序・使用上の注意点やポイントを具体的に説明しています。
知覚過敏のケースと対応
ストレス社会にともない、酸性食品や飲料の摂取の機会が増えており、各患者さんに適したセルフケアの指導が重要といえます。CHAPTER 7では大原直子先生(岡山大学)にブラッシング指導や、スプリント、レーザー治療について説明していただきました。また、CHAPTER 8では、須崎先生の実際の患者さんの症例写真とその対処法を具体的に例示しています。
本書の特長と読者へのメッセージ
数多くの図表やイラストを駆使して、歯科衛生士が、患者さんに納得できるように説明できて、また数多くの治療法や治療剤の中から患者さんの症状にあったものを選択できるように工夫して編集しました。ぜひ多くの方に本書を手に取って読んでいただき、象牙質知覚過敏の治療のエキスパートになっていただきたいというのが、編著者である私の最大の願いです。
