2024年4月号掲載
Vol. 3 母親の口腔健康について
妊娠による口腔内の変化
前号では、主に子どもの口腔健康の視点から母子保健の重要性を解説しました。今回はお母さんの口腔の健康に焦点を当てたいと思います。
妊娠すると、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの分泌が増加します。それらのホルモンによって歯肉溝の細菌叢、脈管系、細胞の機能、免疫応答などが影響を受け、またある種の歯周病菌の増殖が促進されるため、歯周組織に炎症反応が起こりやすくなります。唾液の分泌量や質の変化によって自浄作用も低下します。
妊娠初期はつわりによって口腔清掃が困難になると、プラークが堆積しやすくなります。食に関する嗜好性の変化や偏りが生じ、また少量を頻回摂取する摂食様式への変化などによって口腔内環境が悪化する傾向がみられます。それゆえ妊娠期はう蝕や歯周病の発症や進行のリスクが高まります。