2023年11月25日掲載
インプラント周囲炎について宗像源博氏が講演
(株)COCO DentMedical、オンラインセミナーを開催

「インプラント周囲炎」というと「歯周病に似た病態」「細菌感染により出血あるいは骨吸収が起きる」と思われがち。宗像氏は、インプラント治療も歯周治療もプラークコントロールは大前提であるものの、インプラント周囲炎と歯周病はまったく違う病態であること、「インプラント周囲炎=口腔衛生不良」という認識を改めるべきであると冒頭述べた。
その理由として、インプラント周囲骨の吸収は生物学的幅径の侵害によって起きていることも多く、すなわち生物学的幅径の侵害とは「骨頂からの垂直的な粘膜の厚み」「アバットメントの高さ(補綴マージン)」「骨長レベルと埋入深度の関係」「エマージェンスアングル」のそれぞれが適正な状態にないこととした。そしてインプラント治療の過程で生物学的幅径が関係するのは、インプラント埋入手術時や補綴装置の設計時であり、メインテナンスに入る前からインプラント周囲骨の吸収があること、歯周病と違って骨吸収が起きた後に細菌が感染することなどを説いた。インプラント周囲骨吸収に影響を及ぼすその他の因子には、全身疾患や使用薬剤、骨移植、喫煙などがあるとした。
講演最後には、インプラント周囲炎が起きた際の対処法についてもふれ、徹底的なプラークコントロール、口腔前庭の拡張、小帯切除、上部構造の形態修正などを基本として行い、改善しない場合には外科処置に移行するとした。
従来のインプラント周囲炎に対する考え方とは一線を画す内容に戸惑いを隠せない参加者も見られた。とはいえ、豊富な臨床例およびそれを裏付ける科学的根拠にうなずく者もおり、知識をアップデートできる充実した時間となった。第2回目は、きたる12月16日(土)に「インプラント治療とトラブルQ&A」をテーマに開催予定。