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2016年2月21日

第58回福岡県西地区歯科医学会開催

「歯牙保存治療の最前線」をテーマに

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 さる2月21日(日)、福岡県歯科医師会館(福岡県)において、第58回福岡県西地区歯科医学会が、「歯牙保存治療の最前線」をテーマに開催され、400名以上の参加者がつめかけた。平井友成氏(福岡県開業)、福西一浩氏(大阪府開業)、木ノ本喜史氏(大阪府開業)を講師に迎え、歯内・歯周・自家歯牙移植治療で、今なにができるのか、について講演した。また、歯科技工士との共同セミナーでは有田正博氏(九歯大)が話題のノンメタルクラスプデンチャーについて講演した。

 まず、平井友成氏が「天然歯を保存する、活かす――自家歯牙移植に取り組んで」と題して講演。難治性根尖歯周炎で保存を試みる最終手段として根尖切除術と意図的再植を用いた症例などを示し、臨床上の注意点を述べた。

 次に、福西一浩氏が「Before Selecting Implant――歯の保存か、抜歯をしてインプラントか?」と題して講演。水平破折と垂直破折について言及するなかでは、垂直歯根破折であっても矯正的挺出をすることで頬側骨を保存してインプラント埋入時のGBRを不要にできることから、抜歯の判断を下す前にやれることがないか検討することが重要、と述べた。また、水平歯根破折時には、深部の歯根破折がEPT(+)で感染がなければ、破断面をぴったり固定できれば象牙質とセメント質の添加により治癒させることもできると述べ、歯根破折したら何でも抜髄・抜歯する風潮には苦言を呈した。人工物を入れることを先延ばしにしてあげることが大事と、minimal interventionに基づく歯科臨床の指針を示した。また、福西氏は歯科衛生士との共同セミナーでも「初期治療の重要性とインプラント周囲炎への対処法」と題して講演した。

 木ノ本喜史氏は「明日から役立つ歯内療法のエッセンス 効率的な感染根管の攻略法――感染源はどこにある」と題して講演。感染源の存在が疑われる部位を量の多寡により順序付けして、感染源の多い部位から着手することが有効なことから、感染源の多寡に注目した効率的な感染根管治療について解説した。

 講演後のディスカッションでは、自家歯牙移植の固定の強さ、固定の期間などについて多数の質問が寄せられ、それらに対して福西氏らがよどみなく解説を行った。