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2020年5月3日

シアトルスタディクラブオブジャパン、チャリティーWeb講演会を開催

ボストン大学教授の平山 洋氏が講演

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 さる5月3日(日)、新型コロナ医療支援チャリティーWeb講演会(シアトルスタディクラブオブジャパン主催/株式会社モリタ、株式会社松風協賛)が開催され、平山 洋氏(米国・ボストン大教授)による「デジタル歯科の進化:デジタルリムーバル総義歯(DRCD)」の講演が行われた。

 まず、同会の須田剛義氏(大阪府開業)により本講演会の趣旨説明と、演者である平山氏の紹介が行われた。その後、平山氏による講演が、DRCDの紹介と歴史、DRCDシステム、DRCD製造技術、DRCDワークフロー、臨床例、結論の流れに沿って進められた。

 平山氏は講演のなかで、DRCDの利点として、1.来院回数の減少、2.診療時間の縮小(全体的なコストの減少と生産性の向上)、3.従来の義歯床よりも強度がある、4.気孔率が少ないため細菌感染が起こりにくい、5.適切な咬合が達成しやすい、6.適合が良い、7.装着後の調整が少ない可能性がある、8.複製義歯が製作しやすい、などを挙げた。

 一方、DRCDの制限として、1.咬合高径の評価や、上下顎間関係、上顎前歯切端の位置や適切なリップサポートの位置を評価するのが難しい、2.試適の限界(審美的、機能的問題がある)、3.費用(一般的に技工料が高い;上下で7~9万円)、4.データや実績が少ない、5.症例によっては限界がある、などを挙げた。その後、ボストン大学におけるDRCDのワークフローの実際などを詳細に解説した。

 最後に、平山氏は「デジタル総義歯の時代はこれから確実にやってくるが、総義歯の原則に変わりはない」と述べたうえで、解剖学や咬合採得などの基本事項をきちんと学ぶ必要性を強調した。聴講者からは随時チャットにて質問を受け付け、講演の最後に平山氏が1つひとつの質問にていねいに答えていた。なお、今回集まった参加費はすべて地方自治体に寄付されるとのこと。