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2021年5月9日

東京都歯科技工士会、学術セミナーを開催

中村悠介氏が講師を務める

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 さる5月9日(日)、東京都歯科技工士会(石川功和会長)による学術セミナー(東京都歯科技工士会主催、日本顎咬合学会協力)が、会場(東京都歯科技工士会研修室、東京都)およびオンライン受講のハイブリッドにて開催された。本セミナーの開催には日本顎咬合学会(黒岩昭弘会長)が協力しているが、これは歯科技工を取り巻く問題を解決していくために、日本顎咬合学会と東京都歯科技工士会が共同で行っていくさまざまな試みのなかの1つとのことであった。講師として東京都歯科技工士会・日本顎咬合学会でともに会員である中村悠介氏(歯科技工士・Benefit Technology)が招聘された。

 中村氏は「補綴製作を円滑に行う為のラボサイドアプローチ」と題して講演を行った。治療ステージのどのタイミングから歯科技工士がかかわるのか、そして、そのなかでどのようなことを注意しなければならないのかをテーマにした内容になっており、それを3つのパターンに分けて解説していった。

 最初は最終補綴装置の製作のみにかかわるパターン。中村氏は形成量不足などのトラブルが起きやすいのがこのパターンだと述べている。そのうえでトラブルを減らすためには自分の考えをあらかじめ歯科医師に知っていてもらうことが重要であり、また同時に自分から再形成などを提案するときには担当歯科医師がどのような考えで治療を行っているのかを事前に知っておく必要があると述べた。

 つぎに総合診断・治療計画からかかわり、かつ修復範囲が狭いパターン。基礎資料から問題点を把握し、診断用ワックスアップを行う。それを基に初期治療を行い、プロビジョナルレストレーションを装着して再評価し、問題がなければ最終補綴という流れを解説した。そのなかで、こういったケースでは形成デザインにかかわることが多いと私見を述べた。

 3つ目は総合診断・治療計画からかかわり、かつ修復範囲が広いパターン。全顎的なケースで、かつ外科処置や矯正歯科治療をともなうケースの進め方について解説していった。とくに、顔貌写真、スマイル写真、口腔内写真、パノラマ・デンタルX線写真、ペリオチャート、セファログラムなど、それぞれの基礎資料から読み取れる情報と、それをどのように参考にしていくのかについて詳しく解説した。

 講演の最後に、円滑に仕事を進めるために必要なものは、communication、technology+wisdom、teamworkであるとまとめた。

 中村氏はきたる6月に開催される第38・39回日本顎咬合学会学術大会・総会でも「歯科技工士として治療に関わることの重要性」という演題で講演を行うとのことである。