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2023年10月号掲載

歯科医師・島村 大議員を偲んで

 島村 大先生がご逝去されました。バリバリの臨床歯科医だった先生が国会議員に変貌を遂げられたのは自身がもっておられた政治への高い志です。日本の歯科医療を良くしたい。歯科医療をつうじて日本の社会保障の向上に努めたい。その政治の原点は歯科医療、社会保障の充実です。それを示すように経歴は参議院厚生労働委員長をはじめとする厚生労働畑一筋です。

 島村先生は日本歯科医師連盟理事長を務め、参議院神奈川選挙区から立候補され2期目の途中でした。地方区選出であり、それも全国でも人口が多く、広い地域の神奈川県選出です。そのため全国の歯科医師の先生方との接点は少なかったのは事実ですが、絶えず歯科界の現状を憂い、自分の原点はあくまでも歯科医師であることを念頭に政治活動をされていました。

 島村先生の仕事でいちばん印象に残るのは、歯科医師による新型コロナワクチン予防接種を可能にした活動です。歯科医師が手を挙げたことで、結果、当初は難色を示した医師会は重い腰を上げ予防接種への協力に大きく舵を切り替えました。そのことは菅前首相の新型コロナに対しての回顧の中で述べられています。先生が思う歯科医師から変えるということを如実に示した一例です。

 私は今まで何人かの歯科医師籍の国会議員とお会いしましたが、島村先生ほど高い見識と現場を知る方はいなかっただけに、今回訃報は残念でたまりません。願わくは今後先生のような高い志をもった方が歯科界の中から再び誕生することを期待するばかりです。合掌。