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2024年11月号掲載

第一人者がついに放つ集大成!

【PR】『イノベーション・オブ・ラミネートベニア』 著者にきく、ラミネートベニア修復への モチベーションと読みどころ

※本記事は、「新聞クイント 2024年11月号」より抜粋して掲載。

 小社2024年9月の新刊として『イノベーション・オブ・ラミネートベニア20年の臨床と研究が示す価値』が刊行されました。本欄では、その著者の大河雅之氏(東京都開業、日本臨床歯科学会東京支部長/理事長幹事)に、ラミネートベニアとの出会いから本書の読みどころまでを語っていただきました。(編集部)

――先生とラミネートベニアとの出会いは?

大河:私は1990年代の終わりごろからラミネートベニアに注目しはじめ、臨床で少しずつ試してきました。しかし、当時は接着技術やセラミック材料がまだ発展途上で、確立されたプロトコールがなかったため、予後が見通せない不安がありました。その一方で、バブル経済の影響もあり、患者さんからの審美的ニーズは高まっていました。患者さんが、歯の機能性だけでなく、見た目の美しさにも関心を寄せるようになってきた時期でした。
 それまでに、ラミネートベニア以外にも審美性獲得のためにメタルセラミッククラウンを多く手がけましたが、現在のMI のコンセプトを考えると信じがたいような、便宜抜髄やキャストダウエルコアを用いた支台築造なども一般的でした。
 そのような時代のなか、2002 年にジュネーブ大学(当時) のDr.Pascal Magneが『Bonded Porcelain Restorations in the anterior dentition : a biomimetic approach』を上梓されました。この本は、私の所属しているSJCD(現・日本臨床歯科学会)理事長の山﨑長郎先生たちによってすぐに日本語に翻訳され、クインテッセンス出版から日本で発売されました。その時、私もすぐに手に取り、読んだのですが、それまでの臨床で感じてきた「本当にこんなに歯を削ってしまっても良いのだろうか?」という疑問がすぐに氷解し、それ以来、Dr. Magne の提唱するバイオミメティック(生体模倣的)な修復治療に感銘を受け、クラウンよりも歯質を可能なかぎり保存できるラミネートベニアにシフトしていくことになりました。

――どのあたりから、ラミネートベニアが面白くなってきましたか?

大河:ラミネートベニアの予後に自信をもちはじめたのは、接着技術が進化し、安定した結果が得られるようになってからです。そして、私にとって特に面白くなってきたのは、マイクロスコープの導入により、より精密な支台歯形成が可能になってきたことが大きな要因です。私は1997 年に米国でその道の権威だったDr. Dennis Shanelec(故人・米国開業)の講義を受け、2000年ごろから自分自身もマイクロスコープを導入したのですが、当時はマイクロエンドサージェリーに使うものという認識が強く、窩洞形成や支台歯形成にはあまり使われていませんでした。しかし私は、これこそが支台歯形成に必要だという思いをもつようになっていきました。
その後も、米国のAMED(The Academy of Microscope Enhanced Dentistry)に毎年通い、支台歯形成の技術を磨いていきました。そこで出会ったのが、イタリアDr.Domenico Massironi(イタリア開業)です。彼もマイクロスコープを用いた支台歯形成で著名な方で、今でも交流があり、彼から多くの刺激を受けています。
 加えて、歯科技工士の片岡繁夫先生(歯科技工士・大阪セラミックトレーニングセンター)をはじめとする著名歯科技工士とのコラボレーションも、私の臨床をおおいに助けてくれました。彼らの技工技術と私の支台歯形成技術が組み合わさることで、患者さんに提供できるラミネートベニアの質が一段と向上しました。ラミネートベニアが低侵襲でありながら審美的で、さらに機能的にもすぐれていることが証明され、治療に対するやりがいも大きくなりました。

――ラミネートベニアを臨床で用いはじめた頃と現在を比較して、変わったことは?

大河:1 つ目は、患者さん自身がMIに対して理解を深めてきたことです。以前は「できるだけ多く削ってしっかり修復する」という考え方が一般的でしたが、今では「歯をなるべく削らずに治療を受けたい」というニーズが高まっています。これにより、私も患者さんと一緒に治療方針を考え、低侵襲で機能的な治療を提供できるようになったことに喜びを感じています。
 マテリアルの進化も見逃せません。長石系陶材に続き二ケイ酸リチウムが登場し、さらに現在では高透光性のジルコニアも使用できるようになりました。これにより、ラミネートベニアの適応範囲が広がり、より審美性の高い治療が可能になりました。
 そして、もっとも大きな変化はデジタルデンティストリーの進化です。以前はすべてが手作業でしたが、今ではIOS(口腔内スキャナ)を用いてデジタル印象を採得し、即座にラミネートベニアをデザイン・製作できるようになりました。これにより、治療の効率が格段に向上しました。ただし、ここにおいて歯科医師にはデジタル技術に関する知識と経験が必要であり、みずからが支台歯形態やCAD デザインを深く理解していなければなりません。

――『イノベーション・オブ・ラミネートベニア』を、どのような読者に読んでほしいですか?

大河:本書は、特に補綴・修復分野でさらに成長したいと考えている先生方に読んでいただきたいです。私が20年以上にわたり経験してきたラミネートベニアの歴史や、さまざまな症例、治療方針の変遷が詰まっています。補綴治療の過去から未来までの流れを学ぶことができ、これからの歯科医療を担う方々の参考になると思います。

――本書をこれから手にする皆様へメッセージをお願いします。

大河:ラミネートベニアがクラウンに代わる治療法として世界的に認められていることが、日本ではまだ十分に広まっていない現状があります。また現在、SNSなどで多くの審美症例が共有されていますが、やはり書籍や文献に基づいた知識をしっかりと学ぶことが重要だと感じています。本書では、私の臨床経験を基に、読者がラミネートベニアについて学ぶうえで必要な知識や技術を網羅しています。臨床の参考書として、また論文の読み方のガイドとしても役立てていただけるはずです。
 2002年のDr. Magneの書籍との出会いは、私の診療スタイルを大きく変えました。このように、書籍との出会いはときに読者の運命を変えてしまいます。私の書籍がそうであるとは申しませんが、私がDr. Magneの書籍に出会ったときのようなパッションと感動を、読者の皆様に感じていただければ幸いです。

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